東大ら,ボロフェン内に質量ゼロ粒子を発見

東京大学の研究グループは,中国科学院のグループ,高エネルギー加速器研究機構(KEK)の研究グループと共同で,ホウ素の単原子シート「ボロフェン」の中に,「質量ゼロ」 粒子を発見した(ニュースリリース)。

これまで,質量ゼロの粒子は炭素の単原子シート「グラフェン」に存在することが知られており,固体物理の中心テーマとして研究されてきた。また最近では,この粒子は電気伝導を担うため,エレクトロニクスの新たな動作原理に従うものとしても注目されている。

これまでの研究から,単原子シートにおける質量ゼロ粒子の生成には蜂の巣状の原子配列が必要と考えられていた。しかしながら発見されたばかりの単原子シート「ボロフェン」の電子状態を光電子分光法によって直接観測したところ,蜂の巣状の配置を持たないのにも関わらず,同様の質量ゼロ粒子が生成することがわかった。

この粒子はまた,シートを支える基板の影響により性質の異なるペアを形成して存在していることも発見した。この成果は,新材料「ボロフェン」が示す新奇な性質の発見のみならず,次世代材料として注目されている単原子シートに対して新しい物質設計理念を提供するもの。

今後,この研究成果を元に,質量ゼロ粒子による多種多様な原子シート物性の発見と工業利用への促進が期待され るとしている。

その他関連ニュース

  • 京大ら,高プロトン伝導性で化学的に安定なCOF形成 2024年08月19日
  • 名城大,単層CNTを液相法で安価に合成
    名城大,単層CNTを液相法で安価に合成 2024年08月02日
  • NTT,グラフェンプラズモン波束を発生/制御/計測 2024年07月26日
  • 東北大ら,表面処理で二次元半導体の電荷制御に成功 2024年07月11日
  • 理研ら,異次元ナノ半導体界面に潜む量子光源を発見 2024年04月12日
  • 理研ら,層状物質と微小光共振器で高効率に波長変換 2024年04月03日
  • NIMSら,層状化合物に未実証の電荷密度波分布発見 2024年02月27日
  • 産総研ら,紫外線で粘着力が低下する転写テープ開発 2024年02月13日