来年にも4K放送が開始されることから,参入メーカ各社による4K対応テレビの製品化が活発化している。また,4K対応の有機ELテレビの開発も進められており,国内メーカの事業化に対する関心も高まっている。
有機ELテレビではソニーが56型のものを開発中だ。ディスプレイは光を外部に効率よく取り出せる独自のスーパートップエミッション方式を採用している。ただ,その他,具体的な性能やパネル作成方法などの詳細はベールに包まれたままで,発売時期も未定だ。
一方,パナソニックは4K対応の55型を開発している。高分子材料を採用しており,印刷によりRGBの発光層を形成する印刷方式で作製している。光取り出しに関しては,独自の透明陰極型トップエミッション構造とし,効率を高めるとともに広視野角を実現した。主な性能はピーク輝度が500cd/㎡,コントラストが300万:1,厚さ(最薄部)が8.9mmとなっている。発売時期についてはソニーと同様に未定としている。
大画面有機ELテレビを巡ってはSAMSUNG,LG電子の韓国メーカが発売しているが(ただし2K),4K対応テレビも開発を進めている。国内メーカの早期製品かが期待されるところだが,4K対応液晶テレビも上市している中,民生用としてはコスト面でネックとなる。事業化に向けてはより市場の見極めが必要とされ,発売時期など国内メーカは慎重になっている。
当然技術的な課題が多いのも事実だ。大画面化では量産性が低下するとあって,一層の技術開発が求められている。量産技術の開発ではソニーとパナソニックが共同で取り組んでいる。量産技術が確立されれば,市場での優位性が一気に強まるものと見られている。また,フレキシブル化も競争力の源泉となりそうだ。フレキシブル有機ELディスプレイの研究・開発も進んでいるが,その進展には今後も目が離せない。国産大画面有機ELディスプレイの登場が期待されている。
4K対応テレビでは,三菱電機が赤色半導体レーザ光源とLEDをバックライトに採用したレーザテレビを開発していることにも注目したい。フルハイビジョン対応のレーザテレビは既に販売を展開しているが,4Kディスプレイではレーザ技術によりさらに色域を高めている。気になる販売時期については,来年を予定しているという。
※本記事は月刊OPTRONICS 11月号に掲載したものです。