自動車は「走るスマホ」といわれ,最近は「コネクテッドカー」などといわれています。様々な情報のやり取りは当たり前になり様々なサービスが展開されています。そんな大きな流れの初期段階で展開されていたのがテレマティクス保険でした。テレマティクス(Telematics)はTelecommunicationとInformaticsを組み合わせた造語で,車載端末から発信される運転情報を基に保険会社が事故リスクの分析をして保険料の算定をしています。以下そんな世界でのテレマティクスを追ってみました。
米国オハイオ州に本社を置く保険会社プログレッシブ社が1992年頃にテキサス州で様々な機器や部品を車に載せて実験を重ねていました。テレマティクス保険導入のための実験をしていたのです。例えば,走行した距離や速度,時間帯等々のデータから交通事故との相関を調べています。その結果,走行距離が長くなるほど交通事故を起こす確率が高くなることを導き出し,1998年に走行距離の実績に基づく料金体系とした自動車保険を始めます。PAYD(Pay As You Drive)型と呼ばれるものです(図1[a])。プログレッシブ社はPAYD型に関わる基本システムをカバーする多くの特許を保有し,その特許を盾にビジネス環境を整えてのスタートでした。
この続きをお読みになりたい方は
読者の方はログインしてください。読者でない方はこちらのフォームから登録を行ってください。