人類の宇宙への興味や夢は果てがありません。古代ギリシアの自然科学者達が描いた宇宙観から,16~17世期のヨハネス・ケプラー(1571-1630)やアイザック・ニュートン(1642-1727)などの科学的探究を経てロケットや人工衛星等々の創造と開発が進められてきました。途轍もない数値と精緻な計算による成果でもあります。そんな世界で,“エレベータに乗って宇宙に…”との概念が生まれ,初夢で見たくなるような計画が進められています。今回はそんな話題です。
赤道上空の約36,000kmの地点を回る人工衛星は,地球の自転と同じ周期になるので地球に対して静止した状態になります。その静止衛星から地球まで降ろしたケーブルをエレベータの軌道にしようと言うのが宇宙エレベータです。但し,ケーブルを降ろすだけではその自重で衛星のバランスが崩れます。重力と遠心力のバランスを取るために人工衛星の反対側にも相当量のケーブルを延ばすのです。
このような発想は,ロケット工学の基礎を築いた旧ソ連のコンスタンチン・ツィオルコフスキー(1857-1935)が考えていたと言われます。1895年に,自著の中で「赤道上から天に向かって塔を建てて行くと,次第に遠心力が強くなり,或る高さで重力と釣り合いが…」などと書いていたのです。ツィオルコフスキーがエッフェル塔を見た時の印象が強烈で,“更に高くなると…”との思いからのようです。
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