3. エンドユーズ別動向
軍事用途,特に監視任務におけるUAVの活用はますます拡大している。同時に,精密農業,インフラ監視などの民間用途における導入も進んでいる。軍事用途のUAVは,遠隔操作可能な航空機,戦場における通信機能,リアルタイムイメージングを提供する管理機器によって構成されている。軍事用途のUAV としては,RQ-1 プレデター,グローバルホークなどがよく知られている。
無人機向けペイロードにも,センサー,カメラの機能面で様々な変化が起こりつつある。ペイロードの設計はSWaP(サイズ,重量,消費電力)における制限に直面している。特に,商業用途では,機能が同じでも,コストが低く,SWaPに優れたペイロードが求められる。また,様々な波長に対応するカメラの複数搭載が一般化した現在では,包括的かつ効率的な画像処理能力に対するニーズも高い。
商業用途ではDJI(中国),Parrot(米国),3D Robotics, Inc.(米国)などが様々なアプリケーション向けにペイロードを開発している。将来的にはそうしたドローンの価格が下がることが期待されている。それぞれの国ごとの規制がドローンの導入に与える影響も大きい。包括的なドローン向け規制を導入した最初の国はポーランドである。米国では今年6月に商用ドローンに関する規制が発表された。
3.1 合成開口レーダー
合成開口レーダーは小さな開口面を合成して仮想的に大きなアンテナを実現する技術で,監視,標的設定,戦場成果評価などの機能を提供する。利用する電磁波の波長が長いため,悪天候,濃霧,その他の障害物などの影響を受けにくいことを特徴としている。SARは全日,全天候対応であることから,リモートセンシングにおいて非常に高いポテンシャルを持っている。
従来の航空機,及び人工衛星に搭載されたSARに対して,UAV搭載SARは,低コスト,低リスク,迅速な運用など,いくつかの利点を持っている。そのため,近年,諸所の企業でUAV搭載SARの開発が加速している。UAV搭載SARはグローバルホークやその他の戦闘用UAVシステムの一部として組み込まれることが多い。軍事向け利用の増加に伴い,SAR市場は成長してゆくと思われる。