ドローンペイロード市場
2021年までに77億2000万米ドルまで拡大

2.1 市場拡大要因
2.1.1 センサー技術の進化

UAVに利用されるセンサーの技術はどんどん進化し,小型化,軽量化が進んでいる。MEMS,ASICの革新的な利用とともに,複数のデータソースに対応するセンサーを機能的に統合する動きも活発である。結果としてUAV本体も小型化,軽量化がなされ,商用的な利用がますます拡大するというよい循環が起こっている。

メモリ,データの容量,演算処理能力の向上もあって,より先端的なペイロードの提供が可能となっている。さらには,共通のデータ形式,データバスの開発,採用といった標準化活動が推し進められれば,多様なプラグアンドプレイ型センサーの利用が拡大し,ペイロード設計の柔軟性がより高くなると思われる。

2.1.2 より経済的な監視ソリューションへの関心

UAVは迅速で,持続的な監視ソリューションの提供を可能にする。UAVによる監視ソリューションは,従来より状況認識力が高く,かつ行動に直結する情報を提供し,かつ人的資源,費用から見ると効率がよいという利点を持っている。例えば,UAVを利用すれば,低軌道衛星システムと同等の能力を持つC4ISRをより低いコストで実現できる。導入及び運用の容易さから友軍との間で状況認識を共有する上では最適の手段となりうる。特に過酷な環境で迅速な展開が必要な場合には力を発揮するだろう。

より洗練されたセンサーとカメラが開発され,軍事防衛向けドローンの機能は飛躍的に向上した。さらに,米国国防省などでは作戦コストを削減するため無人機の導入が進んでいる。無人機は,有人オペレーションと比較すればコスト,リスクの面でかなりの利点がある。こうした動きにより防衛向けアプリケーションにおけるドローンペイロードの需要はさらに高まると期待されている。

2.2 制限要因
2.2.1 ペイロードの設計上の制限

ペイロードの開発者は,サイズ,重量,電力(SWaP)などの面で様々な制限事項を抱えている。また,過酷な環境下でも通常通りの監視能力を発揮する耐久性を実現する,燃料の対重量比を一定以下に収める,といった課題もある。センサーの小型化によって一部の課題は克服されつつあるが,信号品位と耐久性のバランスをとりながら,SWaPの要件を満たすにはまだまだ困難も多い。

防衛向けアプリケーションに用いられるUAVには複数のカメラ,センサーが取り付けられ,可視光,赤外,熱など様々な変数に対応できるようになっている。そうしたカメラは低い解像度,視覚の狭さを克服する必要がある。さらに複数のカメラからの入力を組み合わせるためには,処理速度の速い埋め込みコンピュータと洗練されたソフトウェアが不可欠である。センサーによって生成される膨大なデータの中から関連性のあるデータを特定することにも注意を払わなければならない。データ転送速度を上げるために,より進化したI/O接続の開発も必要である。

一方で,高速化の弊害として,反射減衰,入力減衰,クロストークなどといった信号品位に影響を与える要因を管理することがより困難になることが挙げられる。こうした問題からある種のアプリケーションにおけるドローンの利用が制限されることになる。

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