9. 単色収差
9.5 ザイデルの収差
9.5.4 非点収差
一般に,軸外の光線においては,メリジオナル面とサジタル面の集光位置が異なる。一つの面で集光している時,それに直交する面は集光していないので,図4.43に示すように,集光状態は線状になる。これを非点収差と呼ぶ。球面収差と後述のコマも点に集光しない収差であるが,この収差だけ,特に非点収差と名付けられている。
点に集光しないので,線に集光する状態を焦線と呼ぶ。メリジオナル面とサジタル面の焦線の中間において光束の断面は円になり,これら二つの焦線の間の距離を非点隔差と呼ぶ。この円になっている面を最良像面とする。次に説明する像面湾曲と関係の深い収差で,射出瞳の各位置を通過する光線に対する,二つの焦線の中間位置の軌跡が像面湾曲となる。
(a)波面収差
9.3節で説明した式(4.30)の中のC2の項に相当する収差である。この式において,係数C2の項だけが存在する場合を考える。この時,式(4.30)は,次のようになる。
この続きをお読みになりたい方は
読者の方はログインしてください。読者でない方はこちらのフォームから登録を行ってください。