6.4 光計測の分解能

光で画像を使う計測系の分解能について考えてみる。本連載第12回3.5節で光学系の解像性能について述べた。分解能というと直ぐにRayleighの式といわれる0.61λ/NAが想起される。本連載第26回5.4.5.2項で取り扱った超解像は蛍光等の特殊性を利用したものなので,一般の画像観察での光学系の分解能としてはRayleighの評価量が妥当と言える。
通常のマシーンヴィジョン等で取り扱うスケールでは問題ないが,高精度計測の世界での光学系の分解能は決して高くはない。電子ビーム,AFM等,光より遙かに高い分解能で画像を検出する手段は幾つも存在する。他の分解能の高い方式に比べ,光が持っている優位性は高い処理能力で,相対比較で2桁以上大きいスループットを有することである。観察すべき箇所のラフな当りを光でつけ,詳細は他方式でという特質を活かしたハイブリッド系も存在する。通常雰囲気で観察可能なので生体に適用可能と言った利点もある。
それでは画像として解像できる値より小さな分解能での検出を光でできないかというと,答は可能ということになる。光計測の分解能は画像の分解能と定義が異なるからである。検出対象物の大きさをなまじ知っていると,その大きさを解像できる光学系を用意しなければならないと考える人が意外と多いことを筆者は経験した。
確かに,通常の光学系で検出対象の形状を「画像として」観察するには,対象物の大きさを分解できる光学系が必要とされる。しかし光計測の分解能は何をどのように検出するかに大きく依存している。
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