設計特論11—高精度光計測1—

6. 高精度光計測

光の大きな応用分野に光計測がある。ここまでは光工学の主要素として結像を主に論じてきた。光計測も別の主要素の一つで,結像も含め,光速,直進性,波長,偏光,色による物質との関係など,光の持っているあらゆる性質が利用される。光は多くの場合,非接触,非破壊で計測可能という優れた性質を持っている。特にレーザの出現は赤外から紫外までの範囲の光を単波長のビームあるいは平行光として扱うことを可能とし,光計測に大きな進展と応用分野の拡大をもたらした。

要求精度に応じて光計測には様々な手法が用いられる。月との距離測定では光速を使ったレーザ測距が用いられた。レーザ測距は軍用として発達したが,我々にはゴルフでの距離測定でも馴染みとなっている。車載の距離計測でLidarは光を発する測距であるが,画像を用いた方式ではカメラに用いられる三角測量が使われる。マシンビジョンによる検査では結像,光学部品検査では干渉計が使われるといった具合である。

中でも光速度は物理の基本定数の一つである。紆余曲折の後,1983年に真空中の光速度cを

c=299,792,458 m/s

として定義して長さを決めることになった。北極点から赤道までの子午線の長さの1/10,000を1 mとするという最初の定義からは大きく変わったが,光速や波長は絶対計測可能な基準尺として広く用いられている。

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