大阪大学 藤原康文
1. 新しい希土類添加材料の幕開け
希土類蛍光体の講演会に呼んでいただき,ユウロピウム(Eu)添加GaNを活性層とした赤色発光ダイオード(LED)の室温動作について講演を行ったとき,「電池を繋いで希土類イオンを光らせようとは考えもしなかった」と希土類蛍光体分野の専門家に声を掛けていただいた。まさに,希土類添加半導体が新しい希土類添加材料として認知された瞬間である。
絶縁体に不純物として添加された希土類元素は希土類蛍光体として蛍光灯やディスプレイに広く用いられており,母体の種類に大きく左右されず,各元素に特有の波長で,鋭くかつ温度依存性が極めて小さい,4f殻内遷移に起因する発光スペクトルを示すことが知られている1)。
これは4f殻電子が5sおよび5p殻電子によりスクリーニングされていることに起因している。また,希土類発光準位を介する誘導放出は光励起を用いて既に実現されており,YAGレーザやガラスレーザ,光ファイバ増幅器として実用化されている。
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