インテグラル立体テレビ

NHK放送技術研究所 三浦雅人

1. まえがき

白黒テレビ放送が始まって以来,テレビ放送の進化の方向性のひとつとして,カラー化とハイビジョン化に代表されるように伝送する映像の高度化が図られ,それにより豊かな放送文化が形成されてきた。2016年にはハイビジョンの16倍の画素数を有するスーパーハイビジョンの実用化試験放送が予定されており,人間の知覚特性を考慮した究極の二次元映像が家庭に送られる。われわれはその次の世代の放送メディアとして,自然で見やすい立体テレビ放送の実現を目指している。

立体テレビの形態を検討するにあたり,その視聴条件を考えることは重要である。たとえば特殊なメガネを必要とする方式に代表される二眼立体方式では,現状の技術レベルにおいても高品質な立体像を提供することができる。しかしメガネを装着することや,頭を傾けると立体的に見えなくなるということが,二眼立体方式の普及を阻害する一因となっていることが考えられる。

また現行のテレビシステムでは,自然光の下で二次元の撮像素子を用いて映像を撮影し,二次元の表示素子を用いて表示している。立体テレビ放送が始まった場合においても,すべての放送が一斉に立体テレビ放送に置き換わるのではなく,二次元テレビ放送との混在が想定される。そのため,既存放送システムとの互換性を残しておくことも重要であると考えられる。

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