鴫原正義
特許関連の本を読んでいたら,面白そうな話題に突き当たりました。「1624年に英国で近代特許法が生まれたのは『ダーシー・トランプ事件』がきっかけになった…」というのです。興味が湧き,もう少し調べてみました。今回は近代特許法に関わるエピソードを覗いてみましょう。
成文化された特許法の起源を探ると,ヴェネチア共和国が初めて「発明者条例」を公布したという1474年までさかのぼります。国王の判断で認められた時期から1年以内に実施されている具体的な発明に対し20年間の独占的な権利が与えられていました。更に時が経ち,16世紀の英国では国王が営業組合(ギルド)の規制を受けずに独断で毛織物やガラス製品などの製造・販売に関する独占実施権を与えるようになります。
しかし,国王への上納金目当ての権利付与が乱発され,議会の反発を買うことになります。それが契機となり1624年の英国議会において近代特許制度のひな型とされる「専売特許条令」が生まれたのですが,その背景に『ダーシー・トランプ事件』があったという訳です。
この続きをお読みになりたい方は
読者の方はログインしてください。読者でない方はこちらのフォームから登録を行ってください。