(コミュニケーションがやり易い人とそうでない人)
コミュニケーションを取り易い人と取り難い人がいます。この点は理系文系という専門性と関係ないと思います。しかし,どちらかというと理系は話下手でコミュニケーションも下手と思われているのではないでしょうか。
稀なケースだと思いますが,コミュニケーションが不得手なので理系に進んだという方にお目にかかったことがあります。口数は少なく,声も極端に小さく,アイコンタクトも無い方でした。
私自身は仕事で,営業部門の方にも技術部門の方にもインタビューさせて頂くことは多数ありましたが,私の場合も,敢えてどちらかというと営業部門の方,つまり,多くの場合は文系のご出身の方の方が話し易かったような気がしています。
(付き合いの幅が広い営業部門)
営業部門の方は,一般的に多種多様な方々と面談することが多く,付き合いの幅は広いのではないでしょうか。一方技術部門の方の場合,特にある程度の年齢までは,技術系同士での面談が主であるというのが一般的ではないでしょうか。
広く多様な方々とお会いされている営業部門の方だと,私のような人間でも特段珍しくもなくといった感じでお会い頂けるのかもしれません。一方,技術部門の特に若手の方の場合,普段付き合いのない人間との対応には戸惑いが出てしまうのかもしれません。
(質問へのお答えで困ること)
技術の専門家との質疑応答のプロセスで,最も特徴的で,質問させて頂く側にとって困るのが,質問に対する回答が,基本的に,ミクロへミクロへと深化することです。つまり,話題がどんどん詳細になり,専門的になることが多いということです。
「こういうことがあった」に続いて,「ああいうこともあった」と会話が展開するのではなく,「こういうことがあった」に続くのは「なぜならば」といった展開で,説明的というか因果関係重視型というか,結局,ミクロへミクロへと展開しがちです。
話の中身に分かり難いことがあって「その~は何ですか」という質問に対し,「なぜならば~は」といった感じでの返答になりがちで,質問に対する答えというより,質問にある~についてのより詳細な説明が与えられることが多いような気がします。
質問にある~と答えにある~が同じではなくなっている場合もあります。そうなると,結局,当方として分からなかったことは分からないままで終わります。電流の大きさについて質問したら,電子の電荷と個数についての説明が頂けたような感じでしょうか。
(された質問についても厳しい態度)
また,技術系の方々は聞き手に対しても厳しい方が多いようです。インタビューでも,時に厳しい態度で対応して頂くことがあります。例えば,インタビュー対象者の専門分野の常識を知らなかったりすると大変な目に合うことがあります。
「そんなことも知らないで,よくインタビューに来られたな」,極端に表現すると,「そんなことも知らないで,よく人間をやってこられたな」と言われるような感じまで受けることがあります。こちらとしては全人格的な否定をくらったような心持ちになります。
また,うなずきの難しさもあります。相手の方のお話を一生懸命に聞いている印象を出そうとして,それこそ一生懸命うなずいていたら,相手の言い間違いについても,ついついうなずいてしまったことがありました。当方の理解力不足が一瞬で露呈し,睨まれました。
迂闊に代替案をだしたところ,とたんに機嫌を悪くされたこともあります。お医者さんなんかでもよくあることだと思います。学会でのライバルの名前を出しても同じような対応が発生したこともあります。