開発のプロと経営のプロがタッグ 新興レーザメーカーは新たなステージへ

量産向けレーザ発振器メーカーへと変貌する

―本格的に量産が始まると体制はどうなるのでしょうか?

長岡 律速は人材です。お金も必要でして、私たちの株主構成にジャフコさんと日本開発投資銀行さんが加わりご出資していただきました。ジャフコさんは日本で最も老舗の上場を請負う会社ですが、経営姿勢や事業蓋然性の審査基準が大変厳しい企業です。この2社が私たちを支援し、12月に約5億円の出資が実行されました。

岡田 生産能力の課題に対しては、 現状ここ大阪本社内ではでは5、60台までは対応できるかと思いますが、これを確実に実現させるためには、関東にも研究開発および製造拠点を増設し、人材を集めつつ、製造キャパシティを強化していく必要があります。

―関東の拠点はいつ頃に開設する予定ですか

長岡 2025年中には開設したいと考えています。

岡田 まずは小規模ではあるんですけれども、研究開発拠点としてスタートしたいと考えています。といいますのは、半導体パッケージング材料を含めてお客さんが関東の方が多いからです。ですから、お客さんのところに近いところで要素開発が必要だと考えています。まず研究開発拠点として立ち上げるんですけれども、ゆくゆくは生産からアフターサポートまで広げていくことを計画しています。

レーザの搭載部品は使用とともに劣化していくので、その交換や迅速な対応が求められますので、関東に拠点を設ける意義も一つにはそこにあります。当面は大阪本社をマザー工場として、人を育成しながらやっていくことになるかと思いますが、レーザの生産工程には部品を組み込むだけではなく、シビアな調整、検査などもあるので、レーザ発振器の生産現場のことを理解したうえで、開発できる人財を養成しなければいけません。ですから、開発と生産がワンセットの拠点を作り、そこでの人財確保も大きな課題です。

―人と生産能力の強化が重要なのですね

岡田 欧米メーカーでは開発者が製造現場に入り、ノウハウを共有するサイクルがあると聞きます。我々も同様に開発と製作が一体となって対応しています。日本では固体レーザを製造している企業が少ないため、この分野に興味を持ってくれる人を採用できればと思っています。さらに、大学や研究機関と連携して技術力を高め、エコシステムを構築したいと考えています。

長岡 大学にしても就職先として固体レーザを作っている企業が限られているので、レーザを使う方へと研究がフォーカスしがちになります。そのためにも、我々が頑張ってレーザを作る魅力を発信していく必要があると思っています。

―これからの展望について教えてください

岡田 今はビア加工機に注力していますが、他にもいくつかの種を植え込んでいるところです。我々が取り組むべきことは多いですが、愚直に取り組むことで、小粒でもピリリと辛いというインパクトのある存在になれると信じています。このビジョンに共感する方と共に歩んでいきたいと思っています。

(月刊OPTRONICS 2025年1月号 Human Focus「真のレーザ発振器メーカーとして市場浸透へ」)

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