アウレアワークス,高い光学設計力で国産レーザー市場を開拓へ

アウレアワークスは2011年に設立されたベンチャー企業で,レーザー・光学設計を手掛けている。起業当初は半導体レーザーによる低温ポリシリコンレーザアニーリング技術の開発を進めていたが,これまで蓄積した技術を展開させ,各種の材料加熱に対応する高出力半導体レーザーや,加熱に適したビーム整形に関わる光学系の開発を行なっている。また,医療分野にも参入し,磁気共鳴画像診断装置(MRI)向けの超偏極ガス生成用レーザーの実用化にも成功している。

創業者のひとりで同社取締役CEOの加賀尚博氏は,「材料加熱では光学系が極めて重要となる。加熱する照射面積や入熱する深さがデバイスによって異なるためで,それぞれに適した光学設計をする必要がある。我々は光学系の性能とコストを両立させる“柔軟なものづくり”への対応を強みとしている」と語り,国内での製造・販売を展開することでエンドユーザーの要求仕様に応じている。

同社がこれまで手掛けてきた代表的な製品としてはフラットトップレーザー,リングモード光学系,ダイオードレーザー用ホモジナイザー,それに超偏極希ガス生成用レーザーが挙げられる。

■フラットトップレーザー
フラットトップレーザー
フラットトップレーザー

独自設計のホモジナイザーにより均一なビーム照射を可能にし,長焦点で集光することができるダイレクトダイオードレーザーで,ユーザーが要求する仕様に応じてフラットトップフラットトップ均一性やビームサイズ,焦点をカスタマイズすることができるとしている。

また,納入後も加工結果に応じて必要になるビームサイズやフラットトップ均一性の光学調整を国内で迅速に実施することができるとしている。

仕様は,光出力が<12 kW,波長が808 nm/920 nm/940 nm/980 nmから選択,ビームサイズ(テーブルトップ部分)が1×1 mm2〜50×50 mm2,焦点距離が〜3000 mm,フラットトップ均一性が3〜15%,冷却方式が水冷となっているが,特注対応を可能としている。

■リングモード光学系
リングモード光学系(上)と,リングモードとノーマルモードの切り替えも容易(下)
リングモード光学系(上)と,リングモードとノーマルモードの切り替えも容易(下)

キロワットクラスの高出力レーザービームをリング形状に成形する光学系で,光学系に吸収フィルターやマスクを使用していないため,光学ロスが2%以下と極めて低損失な光学系となっている。

この光学系ではガウシアンビームとフラットトップビームのダークスポットや,外径のサイズを自由に変えることができるとともに,レバー操作によってノーマルモードとリングモードを現場で切り替えられるようになっている。このリングモード光学系は半導体レーザー,YAGレーザーなど固体レーザー,ファイバーレーザーなど全てのレーザーに対応することができるとしている。

主な仕様は,ビームサイズが内径φ1 mm以下,外径φ3 mm以上φ100 mm以下,波長が795 nm/808 nm/915 nm/940 nm/980 nm,出力が〜10 kW,焦点距離が100〜500 mmとなっている。加賀氏によれば,目的の加熱温度で均一照射を行なうには,フラットトップ均一性を損なわずにビームサイズを柔軟に変更できることが求められるとし,そのため,光学設計の重要度が増すとしている。