古河電気工業は,今後の大容量通信に必要な帯域拡張を実現するS帯集中ラマン増幅器を開発した(ニュースリリース)。2025年下期よりサンプル出荷開始予定。
近年,スマートフォンやクラウドコンピューティング,動画配信,生成AIの普及などにより,通信基幹網およびデータセンタ間での通信トラフィックが世界的に増加しており,今後更に急激な増加が予測されている。
このような通信トラフィックの増加に対応するため,中長距離光通信網の伝送容量の増大が必要不可欠となっている。伝送容量増大のために従来の通信帯域であるC帯およびL帯に加えて,S帯やU帯などを使用した帯域の拡大が検討されている。しかし,従来の光増幅器であるEDFA(エルビウムドープファイバ増幅器)ではS帯やU帯の光を増幅できないことが課題となっている。
同社は今回,レーザー製造技術とファイバ技術を活かし,S帯集中ラマン増幅器を開発した。集中ラマン増幅器とは,特定の励起光源を用いて光信号を増幅する装置で,内部に増幅媒体を持つことで高い利得を得ることができるという。
伝送路ファイバで信号を増幅する分布ラマン増幅器とは異なり,集中ラマン増幅器は内部に増幅媒体を備えている。この製品は,同社のラマン増幅器用ポンプレーザー「FRL1441Uシリーズ」およびデュアルポートラマンポンプを励起光源として,高非線形ファイバを増幅媒体として採用している。
これにより,従来の技術では実現できなかった高効率な信号増幅利得30dB以上(高利得版),利得平坦度0.4dB以下(高出力版),NF4.7dB(共通)を実現した。また,自動制御機能の中で利得傾斜を±3dBの範囲で調整する機能を備えており,ユーザーが柔軟にシステムの性能を調整できることも特長だという。
■主要特性は以下の通り
高利得版 | 高出力版 | |
波長帯域 | S帯全帯域(1460nm~1530nm) | S帯全帯域(1460nm~1530nm) |
利得(Typ.) | 33dB Pin-15dBm(total) | 13dB Pin+5dBm(total) |
NF(Typ.) | 4.7dB Pin-15dBm(total) | 4.7dB Pin+5dBm(total) |
利得平坦度(Typ.) | 1.3dB @1489.1nm-1525.4nm | 0.4dB @1489.1nm-1525.4nm |
利得傾斜調整範囲 | ±3dB | ±3dB |