古河電気工業は,高出力低消費電力駆動のラマン増幅器用励起光源において,デュアルポートラマンポンプ(DPRP:Dual Port Raman Pump)にて低消費電力化に成功した(ニュースリリース)。
生成AIおよび機械学習の登場により,通信伝送速度の高速化が求められているが,信号受信側のOSNRの低下により伝送距離が短尺化されることから,特に既存の通信システムを活用して高速化する場合,信号光の品質を劣化させずに光出力を増幅するラマン増幅器の役割が重要となってきている。
また,高速伝送により信号の波長幅が広がるため,大容量伝送を両立するには波長帯域の拡大が必要となり,励起用光源の波長を選択することで任意の信号光源を増幅できるラマン増幅器が期待されている。一方で,今後のS帯・C 帯・L帯への帯域拡張を踏まえ,使用数が増える励起光源は,省スペースかつ高出力低消費電力駆動であることが一層重要になる。
2個のLDチップを1パッケージに搭載するDPRPは,伝送装置に使用する励起光源の数量削減を可能とするほか,2個のLDチップの配置を最適化することでお互いのチップ発熱の影響を抑え,電子冷却装置(TEC)の冷却能力の活用で従来よりも省電駆動できる。今回,同社従来製品の「FOL1439 R」シリーズに搭載するチップを2個搭載したDPRPを用いて,省電駆動の効果検証を行なった。
その結果,レーザ温度(Ts)が35℃駆動時の両ポートのファイバ出力が各0.5W(合計1W)の時の消費電力は9.9Wと,従来構成のシングルポート2台を各0.5Wのファイバ出力で駆動したときの消費電力14.6Wと比べて,同一出力時の消費電力を32%低減した。さらにTsを40℃の高温駆動とすることでTECの負荷が低減し,消費電力は39%低減した。
この結果はラマン増幅器全体の低消費電力化に貢献するもの。同社は今後,省電効果が大きい「FRL1441U」シリーズに搭載するチップを用いて,さらなる低消費電力化を図るという。開発は,InP系光半導体材料を用いた光半導体プロセス技術と高精度のファイバ結合技術の活用に加え,同社独自の低損失・高効率動作の半導体レーザー素子構造を採用したとしている。
シングルポート 2台駆動 0.5W x 2 = 1W Ts=35℃, Tc=70℃ BOL | DPRP 1台駆動 0.5W x 2 = 1W Ts=35℃, Tc=70℃ BOL | DPRP 1台駆動 0.5W x 2 = 1W Ts=40℃, Tc=70℃ BOL | |
消費電力 | 14.6W | 9.9W | 9.0W |
従来品との比較 | – | -32% | -39% |