オンセミ,長距離測定可能な産業用深度センサー発表

米オンセミは,高精度の長距離測定と高速移動物体の3Dイメージングを実行する,業界初のリアルタイム間接「Time-of-Flight(iToF)センサー」である「Hyperlux IDファミリー」を発表した(ニュースリリース)。

自動化とロボティクスが産業市場に浸透するのに伴い,これらの複雑な環境における生産性と安全性を向上させるために,高精度の深度情報を迅速かつ効率的に取得する能力が不可欠になってきている。

しかし,これまでiToFセンサーは,検出範囲が狭い,厳しい照明条件での性能が低い,移動物体の深度計算ができないなどの理由で,使用が制限されていた。

この製品は,移動物体の精密な測定と高解像度画像を提供する能力を備えているため,製造システムでのエラーやダウンタイムを低減し,プロセスを最適化して運用コストを削減するのに役立つ。さらに,商用アプリケーションにおける顔認識,ジェスチャー検出,3Dビデオ会議の機能を強化することができるという。  

また,以下のような幅広い産業環境に最適だとしている。

・自動化およびロボティクス:より優れたナビゲーションと衝突回避のための物体検出により,工場フロアの安全性を改善
・製造および品質管理:物体の体積と形状を測定し,欠陥を検出し,製品が品質基準を満たしていることを確認
・ロジスティクスおよびマテリアルハンドリング:パレットと貨物の位置,サイズ,内容比率を測定して,保管および輸送プロセスを最適化
・農業および農場:植物の草丈の測定,病気の検出,灌漑および施肥プロセスの最適化により,作物の成長と生育の監視を支援
・アクセス制御システム:支払い端末,家庭用および商業用エントリーシステムなどに対応した高精細かつ正確な顔認識

さらに,グローバルシャッター・アーキテクチャーとiToF技術を組み合わせて,精密かつ迅速な深度センシングを実現する。iToF技術を使用することにより,1つまたは複数のVCSEL(垂直共振器面発光レーザー)から放射された反射光の位相シフトを測定することで深度を検出するという。

独自のピクセルアーキテクチャーにより,4つの位相情報取得に掛かる時間を大幅に削減でき,シーン全体を瞬時にキャプチャーして深度測定の精度を向上させることができるとしている。

さらに,グローバルシャッター技術では,すべてのセンサーピクセルをVCSELに整列させるため,他の光源からの周囲の赤外線ノイズが大幅に減少する。オンボード深度処理の統合により,高価な外部メモリや高性能プロセッサがなくても,リアルタイムの結果を取得できるという。

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