有機ELディスプレーなどに用いる次世代有機EL発光材料の開発を行なう九州大学発のスタートアップKyuluxと日本曹達は,次世代有機EL発光材料である熱活性化遅延蛍光材料(TADF)に関する量産体制構築に向け資本業務提携契約を締結した(ニュースリリース)。
有機ELディスプレーは液晶に代わるディスプレーとして成長が続いており,今後より一層の高性能化・低消費電力化が求められている。Kyuluxの開発するTADF は,レアメタルを一切使用しない環境負荷低減型の新規材料で,TADFをアシストドーパントとして活用した有機EL発光技術Hyperfluorescenceは高効率,高色純度および長寿命,低コストを同時に実現する究極の発光技術として,今後さらなる事業拡大が期待されるとする。
両社は2020年1月に共同開発契約を締結し,TADFの生産ノウハウの確立を目標に中間体に関する研究開発に取り組んできたが,今後の量産開始を見据え,さらなる連携が必要となったことから資本業務提携契約の締結に至った。この提携により,高品質で安定したTADFのサプライチェーンを構築し,より一層の性能向上と販売強化を目指す。
日本曹達にとってこの提携は,同社が進めてきたオープンイノベーションの取り組みの成果であり,新規事業分野である有機ELディスプレー事業への参入の足掛かりとなるとしている。