OKIは,シリコンフォトニクス技術を用いて,光ファイバーセンサー,レーザー振動計,光バイオセンサーなど,多様な用途に適用可能な超小型光集積回路チップの開発に成功した(ニュースリリース)。
社会インフラの老朽化や労働人口不足,環境問題,健康寿命の延伸など,現代社会の課題に対し,高精度なセンサー技術と膨大なセンサーデータを円滑に収集するネットワーク技術が求められている。
光センサーは,光損失の少ない光ファイバーや光導波路を用いて,光のまま振動や歪,温度などの物理現象を検出・処理・伝送する技術であり,それ自体が省エネルギーでセンシングを実現するグリーン技術となる。
しかし課題解決のための有効な技術の一つである反面,大型・高価であるため,研究用途や大規模インフラへの適用など一部への適用に留まっていた。
同社は長年,光通信用トランシーバーを中心にシリコンフォトニクス技術の研究開発に取り組んできた。シリコンフォトニクス技術は,個別の光部品を光ファイバーで配線することにより実現していた複雑な光回路を,半導体の微細加工技術を用いてシリコン基板上に統合・集積回路化する技術であり,GXの進展への大きな貢献が期待されている。
コンピューターに欠かせないLSIと同じ製造方法を用いるため,小型軽量化,省エネルギー化,大量生産による低コスト化が可能となる。これにより,これまで大きく重厚でハンドリングの難しかった装置を,スマートフォンやタブレットのようなサイズ感で実現でき,光センサーの適用領域を飛躍的に拡大できるとしている。
また同社は,2023年11月に「エッジプラットフォーム」の実現に向けた2031年までの技術戦略を発表した。この技術戦略に基づき,シリコンフォトニクス技術を最大限に活用した成果だという。用途として,光ファイバーセンサー,レーザー振動計,光バイオセンサー,光トランシーバーなどでの応用を想定している。
同社は,今後もシリコンフォトニクス技術を基盤に,シリコンとは異なる光源などの半導体材料まで含めた光集積回路の大規模化や,光電融合を進め,より多様な分野への展開を図っていくという。最終的には1つのチップにさまざまな機能をプログラマブルに実装できるユニバーサルな集積回路チップの実現を目指し,グリーン技術の中核として活用していくとしている。