宮崎大ら,ケーブル移動式カメラとAIで豚の体重測定

宮崎大学と日本ハムは,豚舎内で3Dカメラがケーブル上を静かに巡回し,豚にとってもストレスフリーな方法で体重を収集するシステムを開発した(ニュースリリース)。

豚の体重を測定することは重要だが,数10kgから100kg以上ある豚の体重を測定することは大変な労力を伴う。そのため,飼育日数と見た目による判断で出荷する時期を判断する養豚場も多いのが現状となっている。

特にオールイン・オールアウト方式の養豚場では,飼育している豚の体重分布や日頃の豚の体重増加率が出荷時期の決定に重要な指標となる。しかしながら,数百頭の豚の成長状態を毎日把握することは,ほぼ不可能。

アニマルウェルフェア(動物福祉)の観点からも,体重計(豚衡機)に乗ることを嫌がる豚に与えるストレスについても一考すべきだとしている。そこで,養豚場にケーブルを設置し,このケーブル上を移動する3Dカメラで豚の体重分布を測定するシステムを開発した。

装置が対象としている養豚場は豚を数千頭レベルで飼育している大規模養豚場で,20~50頭の豚が飼育できる区画が10区画ほど並んでいる一般的な構造。最近は自動給餌システムの導入が進んでいるため,えさ箱や水飲み場は給餌パイプに平行して一列に並んでいる。

そこで,カメラ移動用ケーブルを各えさ箱の上を通過するように結ぶ。カメラは一日数回ケーブル上を移動することで豚舎内を巡回し,区画毎に当日の豚の体重分布を測定する。区画の体重分布は各区画の成長異常の発見や出荷時期の決定に有用なデータとなる。

なお,ケーブル上の各区画のポイントにはRFIDタグを設置し,RFIDタグに記録されたIDを読むことで撮影位置(区画番号)が判断できる。ケーブルの張り直しは容易なので,自由に測定位置の変更ができるのも特長となっている。

研究グループは,畜産が盛んな南九州で生まれ,世界的に発信する技術として,期待されるとしている。

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