ソニー,業界最小のOLEDマイクロディスプレー開発

ソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS)は,業界最小となる5.1µm画素(約5,000ppi)と,最大10,000cd/m2の業界最高輝度を両立した,0.44型のフルHD解像度のOLEDマイクロディスプレー「ECX350」を商品化すると発表した(ニュースリリース)。サンプル出荷時期は2024年10月予定。サンプル価格は40,000円(税抜き)。

OLEDマイクロディスプレーは,画素を小さくすると発光効率が下がり,画素あたりに流せる電流に制約がかかってしまうため,高輝度化が難しいといった問題があった。

この製品では,5.1µm画素と,その画素サイズでの発光効率を最大化するマイクロレンズを製造するための半導体プロセスを新たに開発した。さらに独自設計のOLED構造を採用することで,駆動電圧と発光効率の最適なバランスを追求し,小画素化と高輝度の両立に成功した。これにより,この製品は業界最小の5.1µm画素によるフルHD解像度の表示と,業界最高となる最大10,000cd/m2の輝度による優れた視認性を実現したという。

映像表示領域の周囲の非映像表示領域(額縁)には,駆動に必要な回路や配線が実装されているが,従来技術では,ディスプレーデバイスとしての信頼性や,回路部分の配線幅の要求から画面表示不良といった問題が懸念され,狭額縁化は困難とされていた。

この製品では,新たな回路設計と組立工程を導入することにより,これらの問題を解決し,ディスプレー長辺の額縁を上下でそれぞれ1.14mmまで小型化したという。画素の小型化とディスプレーの狭額縁化により,フルHDの画素数を維持しながらも従来製品比24%減となる短辺サイズ7.99mmを実現し,ARグラスの薄型化・軽量化に貢献するという。

また,フルHD以下の任意解像度の映像入力を受信した場合,デバイスの表示領域内の任意の位置に映像を表示することができる可変黒枠機能を搭載。一般的にARグラスにおいて,黒表示部分では実空間が透過して視認されるため,表示映像と実空間を重ねた表示が可能だとしている。

この機能は,従来製品においては前段の処理側(アプリケーションプロセッサ)で黒表示部分の映像信号を生成し入力することで実現していたが,この製品内で行なうことで,任意で設定した解像度による表示を容易にするとしている。

そのほか,最大フレームレート120fps,コントラスト比100,000:1以上,色域sRGB面積比100%となっている。

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