NTCJ,距離演算回路内蔵3D TOFセンサの量産開始

ヌヴォトン テクノロジージャパン(NTCJ)は,独自の画素設計技術と距離演算/ISP技術により,屋内外の様々な環境でも正確に測距することで,人や物体の認識を可能にする1/4型VGA(640×480)解像度の3D TOFセンサの量産を2024年7月に開始すると発表した(ニュースリリ)。

安全規制の強化や自動運転車の普及に伴い,今後はドライバーや乗員の状態,姿勢,位置,行動等をより正確に検知できるセンサが求められている。しかし,従来の2D画像センサーを搭載したカメラシステム等では,奥行方向の情報が取得しにくい,また,太陽光等の外乱光の影響で画像が正確に撮像出来ない等,人や物体の認識が課題だった。

この課題を解決するため,同社は,屋内外問わず,人や物体の位置と形状を正確に認識できる距離演算回路内蔵3D TOFセンサの量産を開始する。

今回開発したセンサは,パルス光源を制御し撮像する機能と,背景光信号を同時に取得することが可能なパルスTOF方式に対応した画素を搭載している。さらに同社独自のCMOSイメージセンサ画素技術とCCDメモリ技術により,5.6μm角の画素内にメモリを同社従来TOFセンサの3個から4個に集積し,測距に使用する撮像信号を3種類から4種類に増加させている。

また,各画素内の撮像信号を蓄積するメモリ内に混入した太陽光等による外乱光ノイズを除去することで,屋外環境においても正確な測距を実現し,従来比で約3倍となる最大20mの測距が可能となったという。

このセンサは,画素のシャッタータイミングを変えた撮像を行ない,反射光や背景光といった複数の撮像信号を各画素に配置したメモリに格納する。この特長により,自律移動ロボットの障害物検知や,車のエアバッグ強度制御等,動作変化の多いアプリケーションでの検知・認識用途に適しているという。

また,距離演算回路と信号補正ISPを内蔵しており,センサから遅延なく高速で,距離(3D)画像を出力することができる。更に,センサから距離(3D)画像とIR(2D)画像を同時に出力することで,2種類の画像を用いて,より高い認識精度を必要とする用途に適しているとする。さらに,画素部を含むセンサ内の故障を網羅的に検出する安全機構を搭載している。

ユーザーでのTOFカメラモジュールの開発に向けて,評価用カメラのリファレンス回路およびSDKを提供している。リファレンス回路はユーザーの用途に合わせたものを準備しており,さらにシステム側のプロセッサで実行する物体検知・認識などのサンプルソフトウェアも提供可能だという。

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