名大ら,ナノ多孔体に貴金属原子を均一に孤立分散

名古屋大学,早稲田大学,豪クイーンズランド大学は,アモルファス(非晶質)の金属骨格からなるナノ多孔体を支持体として用いて,貴金属原子を均一に孤立分散させる方法を提案した(ニュースリリース)。

原子レベルで分散された金属は,その高い金属利用効率と独自の幾何学的構造により,様々な触媒用途のための有望な材料として注目されている。特に,白金族金属は,単一原子(シングルアトム)を形成する場合,非常に高い触媒活性を示すが,その一方で不安定になりやすいという課題がある。

この問題を解決するための効果的な手法の一つとして,特定の支持体上にシングルアトムを形成させ,それらの相互作用を強化することで触媒活性を調整する方法が挙げられる。そのため,優れた触媒活性を持ちながらも,高価な金属の利用効率を最大化できるため,原子レベルで分散された貴金属原子を高い担持量で導入する新規触媒の研究が盛んに行なわれている。

これまで,窒素含有カーボン複合材料,金属酸化物,金属硫化物などの様々な支持体がシングルアトムをうまく分散させる理想的な基質として広く研究されてきた。しかし,これらの支持体上では,多くの場合,シングルアトムの酸化状態(金属イオンの状態)を形成している。

別の手法として,単一原子合金を形成する方法がある。この合金中では,ゲスト金属原子が他の金属基質によって隔離され孤立状態になっているため,お互いの金属は金属結合でつながっている。

これまでに,Pt/Ni(Ni基質へのPt孤立原子の導入),Pt/Cu,Ir/Co,Pd/Cuなど報告されてきたが,すべての基質はナノ構造を持たないものや結晶性ナノ粒子に限定されているため,多くのシングルアトムを導入できなかった。

研究では,アモルファス骨格を有するナノポーラスニッケル(Ni)を支持体として用いて,置換反応によって生成された原子レベルで均一に分散したPt原子を導入することに成功した。高い表面積を有する支持体上での置換メッキにより,白金原子が形成し,最大で12wt%までの白金原子を均一に分散させることが可能になった。

Pt原子とNi原子は金属結合で結ばれており,長時間にわたり安定で,優れた電気触媒による水素発生性能を示すという。

これにより,水素生成反応やその他のエネルギー変換プロセスにおいて,高効率で耐久性のある触媒を提供することが期待される。研究グループは,貴金属の効率的な利用を促進することで,経済的かつ環境に優しい触媒システムの開発にも貢献するとしている。

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