東工大ら,ホウ素と可視光で縮環した3次元分子合成

東京工業大学と東京大学は,ホウ素元素と光エネルギーを組み合わせることで,2次元化合物から高度に縮環された3次元化合物を合成する新しい分子変換反応を開発した(ニュースリリース)。

高度に縮環された3次元化合物は,縮環数が高いほど分子の形が固定化され,標的特異的な生理活性・代謝安定性・細胞膜透過性などの創薬パラメータが向上しやすいことから,医薬品候補化合物として創薬の分野で注目されている。

2次元芳香族化合物を原料として,芳香族性を破壊しながら修飾する手法は,原料の入手容易性,生成物の多様性の観点から,3次元化合物を合成する最も優れた手法である。しかし,代表的な2次元化合物の一つであるキノリンからは,合成できる3次元化合物に大きな制約が存在し,医薬品候補化合物の探索を妨げてきた。

研究グループは,ホウ素元素と可視光エネルギーを利用することで,2次元化合物であるキノリンから3次元化合物テトラヒドロキノリンを一段階で合成する新しい分子変換反応を開発した。さらに,分光学と計算化学の両面から詳細に解析することで,ホウ素元素と可視光エネルギーを利用するこの手法が,多様な3次元化合物の合成にも有効であることを見いだした。

研究グループは,今回の成果によって多様な3次元化合物への簡便なアクセスが実現できたことで,医薬品,生理活性物質,有機材料などの複雑な有機化合物が効率的に得られるようになるとともに,太陽光などの自然エネルギーを利用した持続可能な物質生産にも貢献できると期待されるとしている。

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