ニコンは、産業用ロボットビジョンシステムを2024年秋に発売する(ニュースリリース)。
ますます深刻化する人手不足といった社会的背景もあり,早く正確に作業ができるロボットで単純作業を自動化したいという期待は大きく,多くの企業でロボットビジョンシステムが開発されている。
しかし,処理能力の不足により認識しにくい部品がある,動作・認識が要求スピードにマッチしない,使用開始前の設定が難解で時間を要するため使いにくい,設備導入時の負担が大きいなどの課題があった。
この製品の特長として,2D・3Dカメラを組み合わせた独自のアルゴリズムにより最大250fpsの高速計測を実現し、箱にバラバラに積まれたワーク(対象物)の位置を認識して傷つけずに取り出す「バラ積みピッキング」がある。
これにより,瞬時に状況を判断したロボットアームの高速動作を可能にし,ワークの計測からロボットアームの動き出しまでの時間を2秒以内にまで短縮した。視野内に認識できるワークがなくなった際は,覗き込むようにロボットアームを傾け,別の角度からワークを探索することで,これまで真上からでは認識しにくかった形状のワークも認識が可能となった。
また,コンベア・AGV・AMRなどの搬送機器上で流れているワークを認識し,それらの搬送機器を止めることなく滑らかに追従しながらワークのピックや組付けを行う「ビジョントラッキング」を実現している。
ハンドビジョンであるため,一つの視野内にロボットハンドとワークを捉えることができ,移動中のワークとロボットハンドの手先に生じる細かなブレや把持位置の誤差を瞬時に補正する。これにより,生産工程での突発的な搬送機器の停止や姿勢が変わりやすいワーク等への対応が可能となる。搬送機器との同期作業が不要で,セットアップに要する時間や手間を低減する。
さらに,新規ワークの追加からピッキングの実行までに必要な設定を一部自動化することで,習熟度を問わず誰でも簡単に設定ができ,長時間を要していた設定作業の大幅短縮が可能となる。
CADデータや稼働時のパラメータをサーバー上で一元管理でき,ワーク切り替え時のCADデータアップデートやパラメータ調整を,ロボットアームが稼働状態のままオフラインで行なえる。また,サーバー上に蓄積された異常画像などのエラー情報やパラメータのデータを使って,パラメータ調整や調整結果の確認も可能。これにより,オフラインにてエラーの原因解析や再発防止策を検討できる。
同社はこの製品が,製造業をはじめとする多くの産業で省人化や生産性の向上に貢献するとしている。