富山大ら,光乱雑化の問題により量子鍵配送を強化

富山大学,スペインヴィーゴ大学,加ウォタルー大学は,実際の量子鍵配送装置の安全性を向上させる方法を提案した(ニュースリリース)。

現代の生活においてインターネットは非常に便利で欠かせないものとなっているが,その一方でインターネット上に流れる情報が第三者(盗聴者)によって不正に盗まれてしまい悪用される危険性がある。

例えば,インターネット上での買い物の際にはクレジットカードなどの重要な個人情報などを送信するが,その情報が洩れては大変なことになる。このような盗聴によるリスクは暗号によって避けることができるが,量子鍵配送(または量子暗号とも呼ばれる)は暗号の中でも最も安全性の高く究極の暗号として期待されている。

量子鍵配送は,安全性を数学の問題の困難さに置いていた従来の数理暗号とは違って,光子を上手く用いて情報を守る。

このように次世代の暗号として期待できる量子鍵配送だが,量子鍵配送通信を行なう実際の装置には雑音などの不完全性があり,これを盗聴者に利用された場合の安全性を保証できない,という問題があった。

これに対して,今回研究グループではBB84などの代表的な量子鍵配送方式において広く使用される囮法に注目した。この囮法では,それぞれの光パルスの位相と呼ばれるものを位相変調器により,独立にかつ完全に乱雑化することが要求されるが,この独立かつ完全な乱雑化は実際に実現することは非常に難しい。

特に高速通信においては,光の状態を操作(変調)する装置を非常に高速に動作させるため,ある光パルスへの操作がそれに続く光パルスへ影響を与えてしまう相関の問題があり,独立性が失われてしまう。

研究グループは,この相関をはじめとする不完全をどのように取り除くか,というアプローチではなくこれらの不完全性が存在することを前提とした新しい安全性理論を開発することによりこの問題を解決した。

研究グループは,この研究の成果により,実際の量子鍵配送の安全性がさらに向上するとしている。

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