大日本印刷(DNP)は,半導体製造の最先端プロセスのEUVリソグラフィに対応した,3nm相当のフォトマスク製造プロセスを開発した(ニュースリリース)。
近年,EUV光源を用いるEUVリソグラフィの技術が確立し,2023年には3nmのロジック半導体を採用した製品が提供されているほか,メモリ半導体においてもEUVリソグラフィの採用が進んでおり,最先端半導体の供給にEUV対応が欠かせないものとなってきている。
同社は2020年に5nmプロセス相当のEUVリソグラフィ向けフォトマスク製造プロセスを開発し,今回,さらなる微細化のニーズに対応すべく開発を行なった。
同社が2016年に導入したマルチ電子ビームマスク描画装置は,約26万本の電子ビームの照射が可能で,複雑なパターン形状でも描画時間を大幅に短縮できる。今回,この装置の特性を活かした製造プロセスを改善し,データ補正技術や,EUVリソグラフィ向けフォトマスクの複雑な曲線パターン構造に合わせた加工条件を最適化した。
同社は新たにマルチ電子ビームマスク描画装置を増設し,2024年下期に稼働を開始する予定だという。また,EUVリソグラフィ向けフォトマスクなど先端領域の半導体製造の対応を強化する。
さらに,ベルギーに本部を置く最先端の国際研究機関imec(Interuniversity Microelectronics Centre)と次世代EUV露光装置向けフォトマスクの共同開発を推進するとしている。
同社では,今回開発した3nm相当のEUVリソグラフィ向けフォトマスクを世界中の半導体メーカーのほか,半導体開発コンソーシアム,製造装置メーカー,材料メーカー等へ提供するとともに,EUVリソグラフィの周辺技術開発も支援し,2030年には年間100億円の売上を目指す。
また,imecをはじめとしたパートナーとの共同開発を通じて,3nmより微細な2nm以降のプロセス開発も進めていくとしている。