島津,クラス最高感度の赤外分光光度計を発売

島津製作所は,フーリエ変換赤外分光光度計「IRSpirit-X」シリーズ3機種「IRSpirit-LX」「IRSpirit-TX」「IRSpirit-ZX」を12月7日に発売すると発表した(ニュースリリース)。価格は295万円~(税抜)。

フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)は,試料の同定や含まれる成分の量,化学構造の推定に用いられる。数十秒から数分で結果を得られることから,医薬品の製造工程における確認試験やマイクロプラスチックの測定,異物の解析など用途も多様。

今回,エントリーモデルの「IRSpirit-LX」,小型FTIRとして最高感度を有する「IRSpirit-TX」,耐湿性の高い部材によって高温多湿の地域でも安定的に測定できる「IRSpirit-ZX」の3機種をラインナップした。このシリーズは従来機「IRSpirit」シリーズに比べて分析感度が最大約1.3倍に向上している。

このうち「IRSpirit-X」シリーズは,設置面積はA3サイズ以下,本体重量は8.5kgと,同社FTIRとして最も小型。業界標準に則った試料設置スペースを採用しており,同社製以外のオプション部品も取り付け可能だという。

FTIRは用途に応じたオプション部品を取り付けて測定し,部品ごとに測定条件の設定が必要。測定データは湿度など周辺環境の影響を受けやすく,不慣れなユーザーにとって条件の設定やデータ良否の判断は困難だった。

このシリーズは質の高いデータ取得を支援する機能「スペクトルアドバイザー」を新たに搭載。測定結果と測定例を照らし合わせてデータの良否を判断し,最適な測定条件を提案する。従来機から搭載する,取り付けた部品情報から最適な測定条件を自動設定する機能 「IR Pilot」と合わせて業務を支援するという。

また,1台のPCで同社製エネルギー分散型蛍光X線装置(EDX)と同時制御が可能。独自の統合解析ソフトウェア「EDXIR-Analysis」を用いることでFTIRによる有機物とEDXによる無機物の測定結果をまとめて解析でき,異物解析などの業務効率が向上するとしている。

さらに,FTIRの本体には赤外光を分離・集光する特殊なミラーを内蔵。今回新たにラインアップした「IRSpirit-ZX」は,一般的に使用されるKBr(臭化カリウム)と比較して耐湿性の高いZnSe(セレン化亜鉛)をミラー素材に採用した。高温多湿の地域でも安心して使えるという。

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