愛媛大学の研究グループは,有機伝導体の分子配列と電子構造を精密に制御することに成功した(ニュースリリース)。
電気エネルギーの高効率利用に重要な超伝導を発現する物質を開発するためには,物質中における原子の配列を精密に制御する必要がある。そのためには,できるだけ多くの原子を,予め配列が決まったひとまとめの分子にして物質を設計できる有機物が有利となる。
最近の研究から,電荷秩序状態と呼ばれる物質の状態に圧力などを適切に加えることによって,超伝導になりうるとされている。しかし,電荷秩序状態を意図的に実現する方法は知られていなかった。
これまでに,偶然に頼り,電荷の異なる複数の構成分子を結晶中で配列させる試みが行なわれてきたが,この方法では異なる電荷の分子が無秩序な配列になり,超伝導につながる電荷秩序状態にはならなかった。
研究グループは,3つの分子を連結した三連結分子を考案し,実際に合成することに成功した。その分子でいろいろな伝導体の候補物質を開発したところ,その中から期待した電荷秩序状態を発現している物質が見つかった。
研究グループは,今後はこの物質に圧力などを加えて実際に超伝導になるか調査することに加え,関連する新しい分子も合成して,有機超伝導体の開発を目指すとしている。