ソフトバンク(SB)は,富士通の次世代光伝送装置「1FINITY Ultra Optical System T900」(1FINITY T900)をはじめとする,オープンネットワークに対応したディスアグリゲーション型光伝送システムによるAll optical networkのコア領域での全国展開を10月26日に完了したと発表した(ニュースリリース)。
今回,SBが全国展開を完了したAll optical networkは,通信ネットワークの全ての領域に光の技術を用いている。SBのIPルーターに,長距離伝送可能なコヒーレント型光トランシーバー(DCO)を搭載し,SBの要件に合わせて今回富士通が新規開発した「1FINITY L211」を用いて接続することで,光伝送システム内での光電変換を一切行なわずに,All optical接続を可能にした。これにより,従来比最大90%の消費電力削減を実現した。
また,All optical接続が難しい既存機器との接続においても,大幅な環境性能の向上を図るため,富士通の「1FINITY T900」では,世界で初めて光伝送システムに水冷トランスポンダー技術を適用した。
これにより,冷却効率は従来の空冷システムと比較して2倍となり,2RU(Rack Unit)サイズの筐体に最新のコヒーレントデバイスを12基搭載することで,400GbEを36本収容可能とし,SBが従来使用している機器と比較し,収容密度を4倍に向上,消費電力を約50%削減した。
さらに,従来装置では,CバンドまたはLバンドのいずれかを使用していたが,今回両方を同時に使用することで,1対の光ファイバー当たりの帯域を従来の約2倍に拡張した。また,ディスアグリゲーション型C+L ROADMアーキテクチャーにより必要に応じたシステムアップを可能とし,Cバンドのみで開通後,後からLバンドを追加することができ,通信トラフィックの需要に応じた柔軟な機器の構成が可能となる。
SBは,この光伝送システムの導入により,今後のBeyond 5G(第5世代の次の世代の移動通信システム)/6G(第6世代移動通信システム)を見据えて,増え続けるデータ通信の需要を満たしながら,カーボンニュートラルを実現するネットワークの構築を目指すとしている。