日本電信電話(NTT),東日本電信電話(NTT東日本),日本電気(NEC)は,光ファイバ振動センシング技術を応用し,既に地下に敷設してある通信光ファイバに伝わる振動特性から路面状態を推定する機械学習モデルを構築し,豪雪地帯における道路除雪判断を行なう実証実験に世界で初めて成功した(ニュースリリース)。
豪雪地帯において,地域住民の日常生活に支障をきたさぬよう,都市機能維持や円滑な交通の確保のための除雪対策が重要。道路除雪作業は主として深夜帯に実施される。
限られた時間内での除雪作業による効果を最大化するため,昼間帯には市街パトロールを実施し,積雪量や降雪予想,調査員の経験則を基に除雪実施判断を除雪工区と呼ばれる地域単位で日々実施している。しかし,地方部での人口減少と高齢化が進む中,道路除雪判断を行なう除雪オペレータの担い手は不足し,DX化による効率化が喫緊の課題となっている。
この地域課題に対応するため3社は,NTT東日本が通信用に敷設した未使用の地下光ファイバとNECが提供する光ファイバセンシング技術を用いて得られた青森市内における市道の交通振動データに対して,NTTが提案した除雪要否と交通振動特性の相関分析手法にNECの車速検出アルゴリズムを組み合わせることで,除雪実施判断を行なう実証実験を行なった。
この技術は,既に張り巡らされている通信用地下光ファイバが感知した振動データを収集することで,除雪工区内の複数地点における除雪判断の遠隔実施が可能。また,対候性に優れるメンテナンスフリーな通信用光ファイバをそのままセンサとして活用可能であり,新たなセンサデバイスの設置が不要だという。
さらに,交通流の円滑さの指標となる車速情報と,路面状態と相関を持つ振動周波数の応答特性を特徴量として構成した除雪要否判定モデルの活用より,調査員の経験則によらず適切な除雪判断が可能。道路毎に取得したデータからリアルタイムに除雪判断が可能だという。
この成果を踏まえ,3社は除雪要否判定モデルの汎用性の実証に向けて地域様相の異なるエリアにおける実験を継続し,将来的にはリアルタイムでの除雪実施判断のDX化により持続可能な道路除雪体制の維持など豪雪地域の課題解決をめざすとしている。