古河電気工業は,インフラ構造物向けの表面処理ソリューション「インフラレーザー」において,鉄道車両の塗膜除去などメンテナンスに最適な小型レーザー施工システム(本体重量150kg以下)を製品化し,2024年3月より受注開始すると発表した(ニュースリリース)。
鉄道車両台車など鋼構造物の溶接部は,強度を維持するための重要箇所であることから法令で定期検査が義務付けられている場合もある。従来,これら溶接部を保護する塗膜の除去にはニードルスケーラーやサンダーなどの機械工具が用いられてきたが,作業時に発生する粉塵・騒音・振動などが作業員への負担となり課題となっていた。
同社は,2023年1月にインフラ構造物向け表面処理ソリューション インフラレーザーの共創拠点であるインフラレーザーラボを千葉事業所(千葉県市原市)内に開設し,様々な業界のパートナーとともにインフラメンテナンスの作業効率化および労働衛生改善などに向けたレーザー施工システムの開発を進めてきた。
このシステムには,同社のコア技術のひとつであるフォトニクスの技術を用いて開発した,片手でも安全に操作可能な軽量手持式レーザーヘッド(重量2kg未満)が搭載され,メンテナンス工場内で扱いやすい設計となっている。
従来の機械工具(ニードルスケーラー)での作業と比較して約7倍のスピードで施工することが可能で,光源に連続波方式のファイバレーザーを適用しながらも鋼材にダメージを与えず,騒音・振動も発生させることなく,1種ケレンに相当する水準の塗膜除去を実現した。導入時のレーザー安全教育等を実施することにより,レーザー機器を初めて使うユーザーにも安心して利用できるという。
現在様々な業界のパートナーから屋外等の厳しい環境に耐えられる製品への要望が挙がっており,同社は,船舶・造船所・港湾用途など重塩害地域での利用も想定した設計を検討していくとともに,錆・塗膜除去などの表面処理の更なる高速化に向けてレーザー施工システムのラインナップを拡充する計画するとしている。