ソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS)は,1/3型レンズに対応したグローバルシャッター方式として業界最高解像度となる有効約320万画素の積層型CMOSイメージセンサー「IMX900」を産業用に商品化すると発表した(ニュースリリース)。サンプル出荷時期は2023年10月予定。
この製品は,独自の画素構造の採用により,集光効率および近赤外線に対する感度を従来品から大きく向上させ,産業用イメージセンサーとして求められる主要特性を維持しながら画素の微細化を可能にした。
これにより,小型産業用カメラや組込みビジョン用カメラとして広く普及しているSマウント(M12)に収まる1/3.1型のグローバルシャッター方式において,業界最高解像度となる有効約320万画素を実現した。
あらゆる業界において自動化,省人化のニーズが高まる中,同社独自のグローバルシャッター技術Pregius Sは,小型ながら高速・高精度で動体歪みのない撮像により,画像認識技術の向上に貢献している。
この製品は,Pregius Sをベースに新たに開発した独自の画素構造を採用し,従来フォトダイオードと同一基板上で配置されていたメモリー部を,別の信号処理回路領域に移動した。
これによりフォトダイオード領域を拡大することが可能となり,高い飽和信号量を維持しながら画素の微細化(2.25μm)が可能となり,1/3.1型において有効約320万画素の多画素化に成功した。
また,メモリー部を信号処理回路領域に移動したことで,画素の開口率が上がり,斜入射特性とあわせて量子効率を大きく向上させることに成功した。
これは,搭載カメラにおけるレンズ設計の自由度を高めることに貢献するとしている。加えてフォトダイオード領域を厚膜化する事で近赤外領域(850nm)の感度を高め,従来比で約2倍となる量子効率を実現した。
1/3.1型のこの製品は,産業用途として広く汎用的に使われるSマウント(M12)に収まるパッケージサイズを実現している。
物流市場におけるバーコード認識用小型カメラや製造ラインのロボットピッキング用カメラ,搬送作業を人に代わって行なうAGV(無人搬送装置)/AMR(自動搬送ロボット)など,搭載製品の小型化と高性能化が期待されるさまざまな用途で活用できるとしている。