三菱電機は,同社のSiCパワーデバイス事業拡大を目的に,米Coherent Corp.(Coherent)がSiC事業を分社化して設立する新会社へ5億米ドル(約750億円)を出資することについて,Coherentと合意したと発表した(ニュースリリース)。
SiCパワーモジュールは,従来のシリコンウエハを用いたパワーモジュールに比べて低電力損失で,高温動作や高速スイッチング動作が可能となるため,省エネルギーや脱炭素化によるGX(Green Transformation)実現への貢献が期待されており,電気自動車分野などで市場の急拡大が見込まれている。
同社は,2010年にSiCパワーモジュールを搭載したエアコンを世界で初めて製品化した。2015年には新幹線に搭載する世界初のSiCパワーモジュールを供給するなど,家電,産業機器,鉄道車両分野でSiCパワーモジュールの市場をリードしながら,スクリーニング技術などの高性能・高信頼性の作り込み技術を蓄積してきた。
また,これらSiCパワーモジュールの生産にあたっては,Coherentから長年にわたり高品質な6インチSiC基板の供給を受けている。今後,高品質な8インチSiC基板をCoherentと共同開発する他,同社は約1,000億円を投資して8インチSiCウエハーに対応した新工場棟を2026年に熊本県で稼働させる予定だとしている。