京セラは,かねて開発を進めてきたAIと3Dビジョンで協働ロボットを知能化するクラウドサービス「京セラロボティックサービス」を,11月6日から提供すると発表した(ニュースリリース)。
安全柵なしで人と作業空間を共有することができる協働ロボットは,昨今,労働力不足が進む国内において,製造業での導入が進んでいる。
しかし,既存の協働ロボットは,あらかじめプログラムされた動作を繰り返すことを得意とし,多品種少量生産などのさまざまな環境に応じた自律的な動作が求められる作業の自動化は難しいため,利用シーンが限られていた。
例えば製造現場で,さまざまな形状が混在するワークの中から該当する一つのワークをピックアップする,ばら積みピッキング作業では,正確な物体認識が求められる。このサービスでは,AIを活用し,ワーク検出・平面判定・表裏判定・向き判定を行ない,ワークをつかみ,表裏を分け,向きをそろえて置きかえる。
また,トレーtoトレー整列配膳は,ワークをトレーからトレーへ移しかえる作業のことで,正確にワークをつかみ取り,移動させることが求められる。このサービスは,例えば,複数の矩形(くけい)ワークを扱う現場において,追加のワーク登録不要で,それぞれのワークの中心を高精度にピックし,プレース側のさまざまなトレーの仕切りを認識し,整列配膳するという。
さらに,ワークを京セラへ送るだけで,同社のエンジニアがAIモデルやロボットの作業指示内容を作成する。また,最初に登録したワークの類似ワークであれば,追加のワーク登録不要で作業継続できるため,段取りがえの手間を軽減し,作業時間を短縮する。
知能化した協働ロボットを安定して運用するためには,照明変動など現場の環境変化に応じた対応が必要になる。このサービスはクラウド常時接続により,協働ロボットの状態を常に管理するので,安定した継続運用を実現する。例えば,AIの物体認識品質が低下した場合でも,再学習することで認識品質を維持することができるという。
また,このサービスは,サブスクリプション形式で提供する。ユーザーの利用状況に応じた最適な料金プランを提案するとしている。