慶大,光遺伝学に視覚再生と網膜変性の保護効果確認

慶應義塾大学の研究グループは,名古屋工業大学創出した「キメラロドプシン」という独自の光センサータンパク質を用い,光遺伝学(オプトジェネティクス)を利用した高感度な視覚再生効果及び網膜変性の保護効果を世界で初めて,マウスで確認した(ニュースリリース)。

網膜色素変性症をはじめとする遺伝性網膜疾患は未だ治療法のない主要な失明疾患で,世界で200万人以上の方がこの疾患で苦しんでいる。そのため,近年さまざまな技術を応用した治療法の開発が活発に進められている。

その一つに光遺伝学(オプトジェネティクス)を用いた技術がある。これを応用して患者の目の中でも働くことのできる光センサー遺伝子を送り込んで視覚を再生できることが知られており,現在海外では治験も複数行なわれている。

しかし,従来の光センサータンパク質は直射日光のような非常に強い光でないと反応できず,実用化に課題があった。

この研究では,網膜色素変性のモデルマウス(rd1)に対して,キメラロドプシンをコードする遺伝子を搭載したAAVベクターを硝子体内へ投与し治療する実験を行なったところ,無治療マウスでは光応答が無いのに対し,治療マウスでは強い光はもちろん,街灯のある夜道程度の弱い光でも反応が確認された。

さらに,同じウイルスベクターを網膜下投与で視細胞に発現させたところ,無治療マウスに対し,治療したマウスでは網膜変性の進行が抑制される効果が確認された。

この成果は今後,視覚再生遺伝子治療の実用化に応用されることが期待され,研究グループは臨床応用に向けてさらなる研究開発を進めていくとしている。

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