京大ら,重力レンズで遠方初期銀河の急成長を発見

京都大学と米セント・メアリーズ大学は,CANUCSプロジェクトの観測から,初期宇宙において赤ちゃん銀河同士が合体,急成長している現場を発見した(ニュースリリース)。

形成初期の銀河は,約120億年以上昔の宇宙初期には数多く存在したと考えられているが,それらの銀河は遠く暗いため,その成長の様子を詳しく調べることは不可能だった。

加えて,銀河の成長の様子を詳しく知るためには可視光線の情報が非常に重要だが,120億光年以上かなたの銀河からの可視光線は宇宙膨張により2μmよりも長波長に伸びてしまう。

従来の最新鋭望遠鏡であったハッブル宇宙望遠鏡では,波長1.7μmまでしかカバーされておらず,次世代の望遠鏡による観測が必要不可欠だった。

CANUCSは,最新の宇宙望遠鏡ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を用いて,銀河の宇宙論的進化の様子を調べることを目的の一つとした大規模観測プロジェクト。JWSTは,従来のハッブル望遠鏡に比べて長波長の光を超高感度で観測することができる。

研究グループは,CANUCSで観測された銀河団領域MACS J0417.5-1154の背後において,赤方偏移5以上にある形成初期の銀河の成長について調査を行なった。その結果,赤方偏移5.1付近にある二つの超低質量銀河が衝突している様子を発見した。

この二つの銀河は,ELG1,ELG2と名付けられた。どちらも天の川銀河の1万分の1以下という超低質量で形成されて間もないと考えられるという。このような遠方にある超低質量の銀河は極めて暗いため,本来ならばJWSTでも詳細に調べることは難しい。

しかしながら,ELG1とELG2は重力レンズ効果により本来の明るさよりも15倍程度明るく見えており,JWSTによって詳細な調査が可能となった。

今回,複数のカラーフィルタによる撮像観測を行なった。その結果,ELG1とELG2はどちらも活発な星形成活動を行なっていることが明らかになった。さらにその特徴的な色から,何らかの要因で最近唐突に星形成活動が活発になったことが示唆された。

銀河同士の衝突現象は星形成活動を誘発する場合があることが分かっており,ELG1とELG2は今回の衝突により急激な星形成活動が誘発されていることが予想される。今後この二つの銀河が合体し,一つの銀河になる頃には星質量にして元々の銀河の4倍以上大きさの銀河へと成長すると推測されたという。

研究グループは,さらなる調査のためには分光観測による銀河のスペクトル解析が必要不可欠だとしてJWSTを用いた分光観測がすでに行なわれており,現在解析中だとしている。

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