NIES,温室効果ガス観測技衛星の整合性調査

著者: 梅村 舞香

国立環境研究所(NIES)は,温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)と「いぶき2号」(GOSAT-2)の各衛星から得られた温室効果ガス濃度データを複数の手法により比較し,それらの品質を評価した(ニュースリリース)。

GOSATとGOSAT-2には,温室効果ガス観測センサとしてそれぞれTANSO-FTS,TANSO-FTS-2というセンサが搭載されている。

これらのセンサで観測された短波長赤外スペクトルを解析することで,二酸化炭素(CO2)やメタン(CH4)などの気柱平均濃度を推定することができる。

推定された濃度データの検証・品質評価は,地上設置型フーリエ変換分光計による観測ネットワーク(TCCON)のデータを用いて衛星ごとに実施しているが,衛星間の濃度データの比較はこれまで実施していなかった。

研究グループは,まず,TCCONデータと各衛星データの比較した。その結果,衛星データの差の平均(バイアス)・標準偏差(ばらつき)によると,GOSAT,GOSAT-2共にばらつきの平均値はCO2で1.9ppm以下,CH4で10ppb以下だった。

バイアスの地域依存性を確認するために各TCCONサイトで得られたバイアスの標準偏差を計算したところ,CO2で0.9ppm以下,CH4で5ppb以下であることがわかった。

次に,GOSAT,GOSAT-2の同期観測データの比較した結果,両衛星データは概ねよく一致し,GOSATデータに対するGOSAT-2データの差の標準偏差は陸域のデータに対しCO2で2.24ppm,CH4で11.7ppb,海域のデータに対しCO2で1.68ppm,CH4で9.6ppbであり,両衛星のTCCONデータに対するばらつきの平均値の二乗和平方根よりは若干小さい値だった。

最後に,GOSAT,GOSAT-2の緯度10度毎,経度10度毎にブロック分けした領域内のそれぞれの月別平均濃度を比較した結果は,GOSAT,GOSAT-2それぞれで10個以上の衛星データから計算された領域内平均濃度の差の標準偏差はCO2で1.77ppm,CH4で11.7ppbであり,TCCONデータから評価されたバイアスの地域依存性よりも大きくなった。

この結果,衛星データの全球多様性の網羅やバイアスの地域依存性の適切な評価という点で,この研究で用いたTCCONサイトは不十分であることがわかった。

研究グループは,各衛星データの精度向上,及び,衛星データ間の整合性向上に向けた研究を進める。また,研究の結果はTCCONのネットワーク拡大に際し,参考の一助となるとしている。

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