NAOJ,宇宙論パラメータの精度向上に成功

国立天文台(NAOJ)は,宇宙の膨張を支配する宇宙論パラメータの精度を向上させることに成功した(ニュースリリース)。

宇宙が膨張していることは十分に立証されている。しかし,宇宙の膨張速度を正確に測定することは困難。そのため,天文学者は正確な測定のための信頼できる目印となる天体を探している。

たとえば,明るさが一定のろうそくは,ろうそくまでの距離が遠くなるにしたがって暗く見える。同様に,天体も遠く離れるほど暗く見える。天体のそのものの明るさが一定でそれを知っていれば,観測された明るさをもとに天体までの距離を計算することができる。このような距離測定を可能にする,明るさが既知の天体を「標準光源」と呼んでいる。

研究グループは,超新星やクエーサー,ガンマ線バーストといった,標準光源となる天体のデータを解析するために,さまざまな新しい統計的手法を活用することで新たな研究分野を開拓した。このデータ解析は,国立天文台 天文シミュレーションプロジェクトが運用する中規模サーバを用いた。

距離が異なるいくつかの範囲では,それぞれ異なる標準光源を用いることが有効。つまり,複数の標準光源を組み合わせることで,宇宙のより広い範囲に渡る天体のデータを使い,宇宙論パラメータを絞り込むことに成功した。

この研究により,主要な宇宙論パラメータの不定性を最大で35パーセント減らすことに成功した。研究グループは,宇宙論パラメータがより正確に決まると,宇宙が永久に膨張し続けるのか,それとも最終的に収縮に転じるのか,という宇宙の将来を明らかにできると期待されるとしている。

キーワード:

関連記事

  • 核融合・光電融合・量子・宇宙、次世代成長市場の技術が集結 Photonics Innovation 2026開催

    次世代エネルギーとして期待される核融合、AIインフラの進化を支える光電融合、実用化に向けた開発が進む量子コンピューター、そして民間企業の参入が相次ぐ宇宙ビジネス。いずれも将来の成長市場として投資家の関心を集める分野であり…

    2026.10.28
  • カバーガラスブランドStarveil™の新製品「BDX-3」

    日本電気硝子、宇宙用超薄板カバーガラス「BDX-3」を開発 波長300nmの透過率を0.1%に減

    日本電気硝子は、宇宙用超薄板カバーガラス「Starveil(スターベイル)」の新製品「BDX-3」を開発し、有償サンプルの販売を開始した(ニュースリリース)。放射線による着色を抑えるとともに、従来品「BDX-2」と比較し…

    2026.10.23
  • 北里大など、天の川銀河中心の低エネルギーガンマ線を直接撮像

    北里大学、産業技術総合研究所、京都大学、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、低エネルギーガンマ線天文学において世界で初めてとする光学、電波、X線など天文学の標準となる幾何光学原理を用いた線形画像解析による天の川銀河中心の…

    2026.10.09
  • ノーベル賞2026を光技術と材料から振り返る 光遺伝学、IceCube、分子の「右と左」

    2026年のノーベル賞は、生理学・医学賞、物理学賞、化学賞の自然科学3賞が出そろった。研究対象は脳、宇宙、化学反応とそれぞれ異なるものだったが、光技術という側面から眺めると興味深い共通点が見えてくる。光は、生命現象を操作…

    2026.10.07
  • 島津製作所、JAXA基金で量子スピン磁力計の開発に参画

    島津製作所は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙戦略基金事業に採択された研究開発拠点「宇宙転用・新産業シーズ創出拠点“SX-CRANE”」に、代表機関である東京科学大の連携機関として参画する(ニュースリリース)。 S…

    2026.07.22

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア