上智大学,野村マイクロ・サイエンス,埼玉大学は,発熱作用をもたらす細菌由来の毒素エンドトキシンを認識する蛍光性分子をデザインして,迅速かつ簡便なエンドトキシン測定法を確立することに成功した(ニュースリリース)。
エンドトキシンは人の血液中に混入すると発熱や免疫の過剰反応をもたらすことから,注射用水や非経口薬に対して厳しい濃度管理基準が設けられている。
しかし,現在の測定法は分析にかかる時間が1時間程度と長いことから,注射用水製造現場などでのリアルタイムモニタリングに適していないことが問題だった。
研究グループは,エンドトキシンと反応する蛍光性分子を用いることで,サンプルと混合後1秒以内に発せられる蛍光シグナルを検出し,ごく微量のエンドトキシンを検出することに成功した。
さらにこのとき二波長の蛍光強度の比が変化することを利用し,独自に開発した二波長検出型の連続流れ分析装置を用いることで,1時間36サンプルの高速測定が可能となった。
研究グループは,今後,この技術を応用し,医薬品製造現場でのエンドトキシン濃度の連続監視装置として社会実装されることが期待されるとしている。