モフィリアと仏ISORGは,厚さ1mm程の薄型フィルム状のセンサーによって静脈認証を可能にする技術を開発した(ニュースリリース)。
静脈認証とは,人によって全く異なっている静脈のパターンを使って個人を正確に特定する方法。フィルム状にした指紋センサーは既にスマートフォンや医療機器などで使われて久しいが,指紋による認証は偽造されるリスクがあるほか,ウェット,乾燥や加齢といった指自体の環境変化の影響も受けやすい。
また,顔認証については登録への抵抗感,SNSなどインターネットから写真を抜粋,加工しての悪用,その他プライバシー問題が顕在化されている。それに比べて,人為的に変化を加えることが難しい皮膚の内部情報を使う静脈認証は最も安心で利便性の高い生体認証方式と言われ注目を集めているとしている。
従来の静脈認証プロセスにおいては,光学レンズを使用してイメージセンサーに集光しているため,安定した静脈画像を撮るには数センチ程度の焦点距離を必要としてきたが,今回は,OPD(有機発光ダイオード+TFTバックプレーン)技術と光学制御,それに独自静脈認証技術を組み合わせ,極薄での認証を可能にした。
これにより,ウェアラブル端末やモバイル機器,その他IoTデバイス等,様々なモノ,シーンでの静脈認証が可能となり,活用の場が飛躍的に拡がるものと期待されるとする。
このセンサーの特長として,独自の反射散乱方式により,静脈に照射する近赤外LEDをフィルムセンサーと同一平面上に配置できるので,より多様な製品展開が可能。早ければ1年内の商品化を目指す。また、このセンサーを搭載するデバイス形状や用途により,センサーの大きさや性能,その他様々な要望にも柔軟に対応していくとする。