京大発ベンチャーのエネコートテクノロジーズは,次世代技術として期待の高い車載用ペロブスカイト太陽電池の実用化を目指し,トヨタ自動車と共同で開発に取り組むことに合意したと発表した(ニュースリリース)。
ペロブスカイト太陽電池は,ペロブスカイト構造と呼ばれる結晶構造を持つ化合物を用いた次世代の太陽電池で,2009年に日本で発明され,実用化に向けて世界中で開発が進んでいる。
その特徴は,①20%以上の高い発電効率,②薄い・軽い・曲がる,③少ない工程で製造が可能,などがあげられる。このため,少ないエネルギーで製造ができ,低コスト化も期待されている。高効率・薄膜・軽量であることからルーフなどに搭載する車載用太陽電池に適している。
エネコートは京都大学の研究成果を基に2018年に設立されたスタートアップ企業。高効率なペロブスカイト太陽電池の材料技術や成膜技術を有しており,高出力(2023年4 月時点でモジュール変換効率19.4%)なフィルム型ペロブスカイト太陽電池の開発に成功している。2050年にカーボンニュートラルを目指す国の産業政策の一つであるグリーンイノベーション基金事業にも参画している。
トヨタは「トヨタ環境チャレンジ 2050」の実現に向けた様々な取り組みの中で,省エネルギーやエネルギー多様化の観点からカーボンフリー電力の自給自足を目指し,結晶シリコンセルを用いた車載太陽光発電システムの実用化を進めており,さらなる発電効率向上や低コスト化を目指している。
今後両社は,再生可能エネルギーの自給自足を促進しカーボンニュートラル実現への貢献することを目指し,エネコートのペロブスカイト太陽電池の要素技術とトヨタのソーラーパネルの車載技術を融合させ,実用化に向けた開発を進めていくとしている。