14族カルコゲナイド材料の製造販売を手掛けるカルコジェニックは,次世代材料である硫化スズ分散液を開発したと発表した(製品ページ)。
一般的に,硫化スズの結晶構造はグラファイトのような層状構造であることから,2次元材料として,さまざまな電子デバイスへの応用が期待されている。この硫化スズ分散液を構成する元素も硫黄と錫であることから自然界に豊富に存在し,量産時のコストダウンが期待される。
この硫化スズ分散液はリチウムイオン電池や全固体電池の2次電池負極材,スーパーキャパシタ,ガスセンサー等の各種センサーへの活用が検討されており,将来的には光触媒・太陽電池・ピエゾ素子等への展開も見込まれているとする。
同社は硫化スズの微細化プロセスを新たに開発することにより,高い分散性を持った硫化スズ粒子の開発に成功。水を溶媒として用いた5wt%硫化スズ分散液を例にあげると,流体力学的直径は256.8nmのナノ粒子を有し,透過率は0.04%,ゼータ電位-44mVと高い分散性を示す。
17時間の沈殿テストにおいても,流体力学的直径1086.6nmを有する5wt%硫化スズ分散液の比較例が17時間後沈殿しているのに対し,この5wt%硫化スズ分散液は17時間後も分散状態を維持したという。同社は7月3日より,サンプルの提供を開始するとしている。