NAOJら,アンモニア分子で星間ガスと星形成に知見

国立天文台(NAOJ),名古屋市科学館,鹿児島大学,南アフリカ ノースウェスト大学,名古屋大学らは,野辺山45m電波望遠鏡を用い,赤外線バブルN49に対して,アンモニア分子(NH3)の広域観測を行なった(ニュースリリース)。

太陽よりも10-20倍以上の重さを持つ大質量星は膨大なエネルギーを放出し,周囲の星間ガスに大きな影響を与えるため,その形成過程や影響範囲は重要となる。

2006-2007年にかけ,米スピッツァー宇宙望遠鏡によって,赤外線でリング状の構造を持つ赤外線バブルが天の川銀河におよそ600個見つかった。その多くは中心に大質量星があり,その強い紫外線放射によって周囲の星間ガスを電離して作られたと考えられている。

特に赤外線バブルの縁にはしばしば若い星が存在し,それらは,バブルの膨張運動が引き金となって形成されたと言われてきた。

今回,研究グループでは,天の川の代表的な赤外線バブルN49に対して,野辺山45m電波望遠鏡を使って,アンモニア分子(NH3)の反転遷移によって放射される電波の広域観測を行なった。

その結果,一酸化炭素分子(CO)の観測で捉えられた細長いフィラメント状の分子ガスに沿って,3つのアンモニアガスの塊(クランプ)があることを突き止めた。

アンモニア分子の特徴として,回転の速さが異なる2つのエネルギー準位からの電波を同時観測できる。回転の速さは分子ガスの温度に依存するので,異なるエネルギー準位間での電波強度の比を計算することで分子ガスの温度を精度よく推定できる。

分子ガスの温度分布を見ると,特に中央のクランプ内部にある年齢10万年以下の若い大質量星の周辺,およそ10光年以内の限られた範囲で高密度分子ガス雲の温度が上昇しているとわかった。これは,生まれたての若い大質量原始星によって,周囲の高密度分子ガス雲が暖められた現場を見ていると考えられるという。

赤外線バブルの縁にある大質量原始星周辺の温度分布から,大質量原始星は周囲の星間ガス雲を加熱するが,その影響範囲は,どこでも変わらずわずか10光年程度と限定的だとわかってきた。

さらに今回のアンモニアの観測結果と,プロジェクトが得た一酸化炭素分子の空間分布と比較したところ,先行研究で提案されている2つの分子雲の衝突によって高密度分子ガスが作られ,そこでバブルの縁にある若い大質量星が形成されたシナリオが支持された。

この事から,フィラメント同士の衝突によって大質量原始星が誕生し,周囲の10光年程度の狭い範囲の星間ガスを加熱するシナリオが予想できる。研究グループでは,バブルの縁にある若い星の形成には,バブル自身の膨張運動による影響は効きにくいとしている。

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