東京大学名誉教授で,レーザー,マイクロ波,量子エレクトロニクス等の研究で業績をあげた霜田光一氏が,5月29日に逝去した。102歳だった。
霜田氏は1920年(大正9年)10月5日生まれ。埼玉県出身。1943年東京帝國大学理学部物理学科卒業,1959年東京大学教授,1981年名誉教授.1960年理化学研究所主任研究員兼任,1981年名誉研究員,1981年慶應義塾大学理工学部教授,1993年東京都立科学技術大学客員教授等を歴任。また,レーザー学会会長,日本物理教育学会会長等を務めた。
主な受賞歴に,1974年東レ科学技術賞,1979年米国光学会C.E.K.Mees Medal,1980年日本学士院賞,1990年勲二等瑞宝章,2008年文化功労者文化功労者等がある。
専門はレーザー分光,量子エレクトロニクス,物理教育。最初に手掛けたマイクロ波レーダーの研究は終戦後,マイクロ波分光の研究へとつながり,その後の日本の電波天文学の発展に寄与した。また,メーザーおよびレーザーの黎明期には,タウンズ(C. H. Townes)等と共にそれらの基礎を構築し,国際単位メートルの再定義に貢献した。
その後はレーザー分光学の研究に進み,シュタルク分光や二重共鳴などの基礎研究からレーザー応用技術まで幅広い研究を展開した。また,「エレクトロニクスの基礎」「レーザー物理入門」など多くの教科書を手掛け,晩年も講演と実験の実演を通して精力的に後進の指導に当たっていた。