名大,ダイヤモンド構造と芳香族分子を結合

著者: sugi

名古屋大学の研究グループは,ダイヤモンド構造をもつアダマンタン分子を芳香族分子に密に結合させる(=縮環させる)ことで,新たな分子群の「アダマンタン縮環芳香族分子」を創製した(ニュースリリース)。

芳香族分子は多くの医薬品や電子材料に見られる分子群で,他の分子骨格で修飾することでその機能を変化させることができるため,その修飾法は常に開発が求められている。

研究グループは,芳香族分子にアダマンタン骨格を縮環させる手法を開発した。それにより合成した分子群の「アダマンタン縮環芳香族分子」は,機能性芳香族分子として新しい修飾様式をもち,また,アダマンタン骨格をもつ分子としても,これまでにないユニークな構造を有していることが明らかになった。

アダマンタン縮環芳香族分子は,市販化合物から二段階で,かつ簡便な操作で合成することができる。この手法は様々な芳香族分子にも適用することができ,30種類以上の多様なアダマンタン縮環芳香族分子を合成できることが分かった。

さらに,その性質を調査したところ,アダマンタン縮環芳香族分子は単体の芳香族分子に比べて紫外可視吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルが長波長側に観測されることが分かった。さらに,1つのアダマンタンが縮環することにより,芳香族分子の溶解性が劇的に向上することが分かった。

一般的に,広いπ共役をもつ芳香族分子は有機溶媒に対する溶解性が低く,芳香族分子の合成や解析,応用の妨げとなることが知られている。高溶解性の芳香族分子を与えるこの手法は,有機半導体や医農薬の開発における新たな分子設計として貢献することが期待されるという。

また,アダマンタン縮環芳香族分子を化学酸化することで安定なカルボカチオンが得られることを見出した。カルボカチオンは電子的に中性な分子と比べ大きく異なる電子状態をもち,中には近赤外などの長波長領域での吸収や発光をもつものもあり,色素やオプトエレクトロニクス材料,蛍光イメージングなどに使われてきた。

通常,多くのカルボカチオンは室温下の空気中では不安定で分解してしまうが,このカルボカチオンは,室温下の空気中や溶液状態であっても安定に存在することが明らかになった。構造解析により,アダマンタンの炭素–炭素結合とカルボカチオン中心において超共役が起こり,カチオン種の安定性に寄与していることが示唆された。

研究グループは,芳香族分子の新たな修飾法であるだけでなく,創製が期待されている「ダイヤモンド-グラフェンハイブリッド物質」の精密合成につながる画期的な成果だとしている。

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