千葉大ら,超新星爆発の最出現で宇宙の膨張速度測定

千葉大学らの国際研究グループは,重力レンズ効果によって遠方の超新星爆発が約一年の時間差で複数回観測された初の事象を詳細解析することで,宇宙の膨張速度を表す宇宙論パラメータであるハッブル定数の精密な測定を行なった(ニュースリリース)。

宇宙を特徴づける宇宙論パラメータの一つ「ハッブル定数」は,現在の宇宙の膨張速度を表し,遠方までの距離や宇宙の年齢を決める最も重要な宇宙論パラメータだが,ハッブル定数の測定が精密化するにつれて,異なる手法によるハッブル定数の測定値の食い違いが顕在化してきている。

この検証に有用な新しいハッブル定数測定の手法として,超新星爆発の重力レンズ効果による到達時間の差を用いた手法が提唱されている。超新星爆発を観測するとき,重力レンズ効果によって,ある時間差で複数回観測されることがある。この到達時間差は宇宙の大きさ,すなわちハッブル定数に依存するため,ハッブル定数の測定ができる。

超新星爆発の重力レンズ効果による到達時間の遅れは2014年に初めて観測され,「レフスダール」と名付けられた。研究グループは,重力レンズ超新星爆発レフスダールの時間の遅れの詳細解析からハッブル定数の測定を行なった。

レフスダールの発見時点では,1ヶ月以下の短い時間差の四つの複数像のみが発見された。その直後に,複数の研究グループが五番目の像の再出現を予言したが,その時期は大きくばらついていた。

その後ハッブル宇宙望遠鏡での追観測により,最初の像の出現から一年後の2015年に五番目の像の再出現が観測され,研究グループが最も正確に再出現の時期を予測していたことがわかった。

研究グループはその後もモニター観測を続け,超新星像の光度曲線の詳細な測定を行なった。「ブラインド解析」と呼ばれる手法を採用するとともに,複数の研究グループの予言を,それぞれの手法の像の位置や明るさの比などの再現精度で重みづけする手法も採用した。

その結果,研究グループが構築した質量分布モデルの結果で今回の測定値が主に決定されることになり,最終的に低めの値を支持するハッブル定数の値(64.8+4.4-4.3km/s/Mpc)を報告した。これは現在の宇宙の膨張速度が遅いことに対応し,宇宙背景放射から推定されたハッブル定数の値に近い値だという。

これは,超新星爆発の重力レンズの時間の遅れの観測から精密なハッブル定数が得られた最初の例。研究グループは,今後も超新星爆発の重力レンズ時間の遅れを用いたハッブル定数の測定例が増えていくと期待している。

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