凸版印刷は,パワー半導体向けの受託製造ハンドリングサービスを2023年4月より提供開始した(ニュースリリース)。
パワー半導体は,その需要が増大する一方で,製造キャパシティの増強は限定的であるため,需要に対して供給が追い付かない状況が続いており,産業機器やFAなど,少量多品種向けのパワー半導体の供給不足が深刻な問題となっている。
これ対し同社は,2022年12月に創業した日本初の独立系ファウンドリーであるJSファンダリと戦略的協業契約を締結。これまで培ってきたロジック・アナログ半導体の回路設計やターンキー事業のノウハウを生かし,パワー半導体ウェハの受託製造ハンドリングサービスを開始する。
このサービスは,ウエハー製造キャパシティの確保が困難な車載・産業機器・ファクトリーオートメーション向けをはじめとするパワー半導体を対象として,デバイスメーカーが保有するウエハー製造プロセスのポーティングと,ウエハー製造を凸版印刷が受託するもの。
ウエハー製造プロセスは,JSファンダリとの協業契約に基づき,同社の新潟工場内に構築される。このサービスを利用することでデバイスメーカーは,自社の製造工場でパワー半導体の旺盛な量産需要に応えつつも,その煽りで出荷困難になりがちだった多品種小ロット品についての安定供給が可能となるとする。
まずは6インチウエハー(直径約150mm)プロセスのポーティングおよび製造代行からサービスを開始し,「エピタキシャル工程」「裏面工程」など,ウエハー製造に関わる部分的な加工のみにも対応する。
そして,2024年度内には8インチウエハー(同約200mm)プロセスにも拡大させると同時に,凸版印刷の半導体設計子会社であるトッパン・テクニカル・デザインセンターによる,パワー半導体の設計から製造までを請け負うターンキーサービスの提供も開始する予定。
JSファンダリが保有する6インチウエハー製造ラインの優先的な使用について,両社は合意しているという。これによってデバイスメーカーは,自社ブランドのパワー半導体の生産キャパシティの追加確保が可能になる。2024年夏以降は,新設される8インチウエハーラインも活用可能になる予定だとしている。