光総合技術展示会「OPIE’23」(4月19日~21日 パシフィコ横浜)では海外出展社の大幅な増加があり,特にパビリオンを形成して出展する国・地域が目立っている。今回出展した5つの海外パビリオンのうち,ベルリン・ブランデンブルグパビリオン(ベルリンパビリオン G-02)は,ドイツの首都であるベルリン近郊に拠点を置く企業7社(団体)から構成されている。
ベルリン・ブランデンブルクのフォトニクス・クラスターは,地域における技術開発のさらなる推進を目指して設立された。特に強力な科学的基盤(10の大学および26の大学付属研究機関)と,各専門分野に特化し,幅広いノウハウを備えた390社を超える中小企業群から成り,国内・国際連携につながる科学界と産業界の相互移転の基盤となっている。
出展社のasphericonは,非球面光学とシステムの分野における技術を得意とし,世界でも類を見ないCNC制御技術とハイエンドな製造工程を組み合わせることで,光学部品,アセンブリ,システムを高い精度で提供している。
光学設計から製造,コーティング,精密測定,光学特性評価,光学モジュールの組み立て,完成した既製システムまで,宇宙分野で認められた品質レベルで顧客の要求に応えるとしている。
業界団体のEPIC(欧州フォトニクス産業コンソーシアム)は,ヨーロッパのフォトニクス分野で活動する組織の持続可能な発展を推し進めている。800社を超える企業の代表として強力なネットワークを維持し,技術発展とビジネスの仲介役として,フォトニクスエコシステムを活性化させている。
市場や技術に関するレポート発行や技術ワークショップ,企業間会議の開催のほか,EU予算申請,提言,陳情の支援,教育研修活動,標準化およびロードマップの作成,展示会でのパビリオン出展などを行なっている。
光通信関連の研究機関であるFraunhofer Heinrich Hertz Institute(HHI)は,LED,レーザー,高速フォトダイオード,InPベースのTHzシステムなどのフォトニック・コンポーネントのほか,InPファウンドリー・サービスおよびハイブリッド集積型PolyBoardプラットフォームの2種類のフォトニック集積プラットフォームを提供している。
ファイバー,フリースペース・オプティクス,テラヘルツ放射によるTb/s伝送に加えて,将来のネットワーク需要に対応するデジタル信号処理ソリューションにも重点を置いているという。今回はこうしたコンポーネントのほか,小型の可視光通信モジュールの実機を展示している。
Menlo System GmbHは,精密計測装置の開発および販売を行なっている同社は,ノーベル賞受賞の光周波数コム技術で知られている。主な製品として,光周波数コムのほか,時間・周波数分布のためのソリューション,超安定レーザー,テラヘルツシステム,フェムト秒レーザーがある。
世界中の産業界や学術界に製品を提供しており,測定の限界をさらに広げるため,顧客と密接に協力し,レーザーベースの精密測定のための新しいソリューションを開発しているとしている。
MO-SPACEは,量子鍵配布(QKD)アプリケーションのペイロードを提供している。これらのシステムは,人工衛星や高高度プラットフォームに実装されることが予想されるとして,同社は将来的には完成ペイロードを提供するとしている。
The Photonics and Optoelectronics Network(PHOENIX)は,ベルリンに於けるフォトニクス企業団と各地域(日本,イスラエル,ポーランド,米国)の科学及び産業界の協力ネットワーク。共同研究開発プロジェクトの創業推進・後援を提供し,ベルリン市場への参入支援を行なっている。
PolyPhotonics Berlinのポリフォトニクス・テクノロジー・プラットフォームであるPolyBoardは,可撓性のあるポリマーを基盤とした光学素子のツールボックス。基本的な構成要素として,混成集積することで,多用途の小型機能デバイス(ハイブリッド光集積回路)になる。
応用分野として,送受信器,マルチプレクサー,波長可変レーザー,分光用レーザー,テラヘルツ源,ファイバーブラッググレーティング(FBG)用インテロゲーターなどがある。
VPIphotonicsは,集積フォトニクス,オプトエレクトロニクス,光ファイバー接続,光伝送システムおよびネットワーク,機器構成の必須要件に対応した本格的なシミュレーションソフトウェアを提供する。インターフェースは,業界で使われているツール,サードパーティー製ソフトウェア,ラボの機器,既存データベースに幅広く対応している。
同社はのソリューションは,コンポーネントの特性やシステム要件に加え,エンジニアリングの規則やトポロジー配列に関して,チーム内,企業間でのシームレスな情報交換をサポートするという。
ベルリン・ブランデンブルグパビリオンは2018年から出展しており,海外パビリオンとしては最古参となる。イベントマネージャーのOlav Morales Kluge氏は「他の展示会と比べたとき,新たなパートナーの探索や,取引先との絆を深めるにはOPIEが最適だと思う」「ベルリンにとって日本は大きなマーケットであり,ネットワークをより深めると共に,コロナによって失われたこの2年をOPIEを通じて取り戻したい」としている。